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「人工知能」を知りたい人のための読書案内

2016年09月14日
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情報管理LOGの@yoshinonです。

インターネットの次に来る産業に与えるインパクトが大きいものは?

と問われれば、私は真っ先に「人工知能」と答えます。
それぐらい、近未来的に人工知能が、世界に与える影響は相当に大きいだろうなと考えています。しかし、なかなか人工知能と言われても、よく分からないという人も多いのではないでしょうか?そこで、「人工知能について知りたいのだけど、何から読めば分からない」という人向けに本をセレクトしてみました。







人工知能は人間を超えるか


まずはじめに私がオススメしたいのは、これですね。
人工知能について、過去に幾度かブームが起きたことなどの歴史的な経緯や、現在研究が進んでいる人工知能についてまんべんなく解説されている良書です。
ニューラルネットワークや機械学習など、人工知能関係について学んでいくと、必ず当たる語句に関しても、かなり平易な言葉で解説してくれます。
単に「人工知能が、人間を滅ぼす」というような安直な結論にも導かず、技術者視点でより穏当な未来について語っているというのも好感度が高いです。最初の1冊としては、最適だと思います。

<目次>
序章 広がる人工知能―人工知能は人類を滅ぼすか
第1章 人工知能とは何か―専門家と世間の認識のズレ
第2章 「推論」と「探索」の時代―第1次AIブーム
第3章 「知識」を入れると賢くなる―第2次AIブーム
第4章 「機械学習」の静かな広がり―第3次AIブーム1
第5章 静寂を破る「ディープラーニング」―第3次AIブーム2
第6章 人工知能は人間を超えるか―ディープラーニングの先にあるもの
終章 変わりゆく世界―産業・社会への影響と戦略





人工知能、ロボット、人の心。


なんと、0円で提供されているKindle本です。
筆者は、先端科学などを学ぶ学習会などを主催されている方で、その内容をまとめて出版したものです。内容としては、2015年の当時のものなので、若干ネタ的に古くなっている感じもしなくはないですが、読み物としては面白いです。
各界の先端で研究開発されている方のインタビュー形式になっているので、本全体としてのまとまりは弱いですが、広く浅く知識を得るには、十分な内容となっています。まあ、0円だし、空き時間でサクッと読めてしまいます。

<目次>
第1章 人工知能の急速な進化が引き起こすビジネスチャンス
第2章 協働型ロボットの今
第3章 ソフトバンクのPepper
第4章 Watson
第5章 大阪大学石黒浩教授
第6章 匿名仮想座談会






人工知能とは(監修:人工知能学会)


一番最初に紹介した松尾豊氏が編集した人工知能学会監修の本です。
人工知能分野で最先端の研究を行う研究者13人が、人工知能学会誌に連載したもの大場に加筆修正し、まとめたものになります。
学会誌が元になっているので、難しいのでは??と思われるかもしれませんが、案外そうではありませんでした。むしろ、最先端で研究していらっしゃる方々が、何を考え、どのようなアプローチをしているのかを知るには、最適かもしれません。研究者同士なので、考え方の違いも読めるというのもかなり面白いです。





脳・心・人工知能 数理で脳を解き明かす


こちらは、ブルーバックスなので、どちらかといえば、読み物的な要素が大きいです。また、アプローチとしては、「数理脳科学」という分野からの考察になるので、「脳」と「心」を数理的に読み解いていった先に人工知能があるという感じ?
人間の脳という仕組みを理解したうえで、人工知能を知ることによって、ニューラルネットワークとは一体どういったものなのかという理解を深めてくれます。
すごく読みやすいです(部分的に難しい部分があるけど)。




AIは「心」を持てるのか 脳に近いアーキテクチャ


こちらは、やや哲学的な内容も含む著作になっています。とはいえ、様々な分野の学問を横断しながら、「そもそも『心』とは何なのか?」ということについて歴史的な経緯や、先端科学(心理学、統計学、数学、物理学)などから紐解いていきます。そして、人工知能というものは、どういったものであるのか?ということについても分析しています。人間を模した人工知能は、可能なのか?ということについて、真っ正面から考察しているのが、興味深いです。





人工知能は私たちを滅ぼすのか


この本は、他の本とは異色です。どのように異色かというと、主人公のマリが卒論のテーマとして「人工知能」について書くという構成になっているからです。したがって、卒論ぽい構成になっており、コンピュータの歴史から人工知能に至るまで、そして人工知能が社会に及ぼす影響などについて、まんべんなく書かれています。
このあたりの流れを、サクッと抑えておきたい人にとっては、かなり読みやすいのではないでしょうか?逆にこのあたりの知識がある人にとっては、あまりオススメできないかも。

<目次>
はじめに
プロローグ
第1部 コンピューターの創世記
    ── 私たちが禁断の果実を口にするまで
第1章 人間は心を持つ機械を作れるのか
    ── コンピューターの創造
第2章 機械は人間をどこまで賢くするのか
    ── 箱舟に導かれたパーソナルコンピューター
第3章 インターネットが雲の上に織り成す地球の神経網
    ── 雲まで届くバベルの塔
第4章 スマートフォンはいかにして私たちのポケットを占拠したか
    ── 神と人をつなぐ石
第2部 人工知能の黙示録
    ── 神の子が私たちを最後の審判にかける
第5章 人工知能は本当に人間を超えるのか
    ── 聖杯の探求者たち
第6章 IoTと人工知能がもたらす2030年の社会
    ── 千年王国の到来
第7章 人工知能は私たちを救うのか、滅ぼすのか
    ── 最後の審判
エピローグ
おわりに






AIの衝撃 人工知能は人類の敵か


上の本と同じようなサブタイトルですが、こちらの方がどちらかというとオススメ度は高いです。最新のAIについての紹介や脳科学からのアプローチ。そして、AIが現実にどこまで影響を与えうるのかについての考察などを難しくなく語っています。
また、豊富な事例を元に書かれているので、それだけでも知的な興奮が得られます。例えば、音楽などの芸術分野にまで人工知能が入り込む余地があることなど、知れば知るほど、自分たちの基盤が揺らいできている感覚に襲われます。

<目次>
第1章 最新AIの驚異的実力と人類滅亡の危惧
――機械学習の光と陰
第2章 脳科学とコンピュータの融合から何が生まれるのか
――AIの技術と歴史
第3章 日本の全産業がグーグルに支配される日
――2045年「日本衰退」の危機
第4章 人間の存在価値が問われる時代
――将棋電王戦と「インダストリー4.0」






アルゴリズムが世界を支配する


こちらは、正確に言うとAIの話ではありません。
とはいえ、AIのベースともなるアルゴリズムが、世界にどのように影響をすでに与えているかについて書かれています。上の「AIの衝撃 人工知能は人類の敵か」にも書かれていたような様々な事例を通して、現在私たちが生きているこの世界が、どれほどアルゴリズムによって変質していくかが、書かれています。上記の本よりも事例も多く、内容もかなり充実しています。特にウォールストリートで行われている株の自動売買の話などは、もはや現実の一部になっていますよね?

そのあたりに関しては、こちらの本も参考として挙げておきますね。








人工知能は碁盤の夢を見るか? アルファ碁VS李世ドル


今年の前半のビックトピックであったイ・セドルとGoogleのアルファ碁との対決の一部始終について書かれた本です。もちろん、対局だけではなく、アルファ碁とはどのようなものなのかということについて、しっかりと掘り下げた記事を書いています。
将棋は敗れてしまったものの、囲碁はまだまだだと思われていた昨年末に戻って、「人工知能の進化は、そんなものじゃないぞ」と教えてあげたい1冊です。





デジタルは人間を奪うのか


この本は、人工知能の解説本というよりも、人工知能が社会に到来するときにどのように人は生きていくべきなのかについて考えさせられる本です。
著者が表現するデジタルという船に乗っている我々が、単に乗せられているという受け身ではなく、きちんと舵を取り、どういう未来があるべきなのか?ということについて、「考えに、考え抜く」ことが大事だということが、分かります。非常にベーシックな結論ですが、ベーシックであるが故に忘れがちな点について、しっかり指摘してくれています。

<目次>
はじめに
義足ダンサーの見事なダンス/永遠に止まらない心臓/不思議な違和感の正体/本書における「デジタル」の定義
序 章 デジタルの船からは、もはや降りられない
「ただ楽になっただけ」/とめどなき情報量爆発/デジタルテクノロジーと人間/「つながっていても孤独」という不可思議/豊富な情報は人間をどこへ導いているのか/デジタルの船からは、もはや降りられない
第1章 デジタル社会の光と影
ドラえもんのひみつ道具が次々と実現/デジタルが発展途上国の50億人に光をもたらす/18歳女子高生の大発明/光が射す一方で、つくられる影/毎日ムダな情報と出会っている?/他
第2章 モノのネット化で変わる生活
あらゆるモノがネットとつながる社会/替え時を教えてくれる「おむつ」/ウェアラブルコンピュータの危険性/「コンピュテーショナル・ファッション」/他
第3章 ロボットに仕事を奪われる日
『鉄腕アトム』はもはや夢物語ではない/躍進するロボット記者/コンピュータ小説家/人間の仕事の多くが消滅する/人間が支配されないために
第4章 仮想と現実の境界線が溶ける
ほか





明日、機械がヒトになる ルポ最新科学


こちらの本も正確には、人工知能の本ではありません。
人と機械の境界を探るという目的で、科学の先端を走る方々にインタビューしたものをまとめた本になります。しかし、「人に心はあるのか?」とか、「心は、機械で再現可能か?」といった、人工知能に通底する疑問について、つっこんで話をしています。
若干、著者の強引な理論展開に「?」となることもありますが、それでも興味深い視点が盛りだくさんなので、人工知能に関わる知識を補填する上でも、読んで損はないですね。

<目次>
第一章 SR――虚構を現実にする技術
第二章 3Dプリンタ――それは四次元ポケット
第三章 アンドロイド――機械はすべて人型になる
第四章 AI(人工知能)――機械は知性を持つか
第五章 ヒューマンビッグデータ――人間を法則化する
第六章 BMI――機械で人を治療する
第七章 幸福学――幸せの定理を探る







 eyeglass2.png 情報管理LOGの眼
 人工知能を知ることは、人間を知ることにつながる

人工知能を知るための初心者ガイドとして書いてみましたが、これらの本を読んで通底するのは、「人工知能」という最先端の領域では、「人とは何なのか?」ということが常に問われているということが分かるということです。つまり、「人(脳)を知る」ことが、人(脳)を越える存在を作る上で欠かせない研究の一つになっているということなのです。

そもそも私たちが、心だと思い込んでいるものとは何なのか?
知性というのは、どういうことなのか?

数理の果てにあるのは、意外と哲学に通じているというのは、少し面白く、そして興味深いものだなと考えています。


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