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Twitterのアンケートと世論調査について~Twitterアンケートは正確性があるか?

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情報管理LOGの@yoshinonです。
よくTwitter上でアンケートしているのを見かけますよね?
でも、アレって正確なのでしょうか?最近、新聞社とかの世論調査と(正確性が)変わらないのでは?みたいなことを言う人がいるみたいなので、他でも書いている人がいますが、情報管理LOGでも取り上げたいと思います。


  
【 Twitterのアンケートと世論調査について 】  

 1.Twitter上のアンケートとは

 2.世論調査(RDD方式)について

 3.Twitterアンケートの無意味さについて

 4.世論調査の問題点について







checkmark.png 1.Twitter上のアンケートとは<

Twitter上で様々なアンケートをよく見かけますよね?
特に最近は、色々と政治的にもセンシティブな話題が多いので、そういう傾向のアンケートを目にすることが増えてきました。

Twitterアンケートってこういうの。
ものすごく無難なのをセレクトしてみました。




しかし、いつもセンシティブな話題に関してのアンケートについては、何だかもやっとした違和感を感じています。自分たちに都合の良い結果が出ていることに自信をもって、(右も左の方々も←こうやって書かないと、ものすごく粘着されるから!!)「大勝利!」とか言っているのを見ると、とても残念な気持ちになってしまうのです。しかも、それをもって、「世論調査は、意味ない!自分たちの結果の方が正しい」という言説を見ていると、そうではないのだけどなと思ってしまうのです。

それはなぜかというと、Twitterアンケートは、内輪で面白おかしく楽しむだけであるならば良いのですが、

基本的には意味が無い

からです。

なぜ、意味が無いのかについては後ほど解説しますが、まずは世論調査(RDD方式)についての基礎知識についての解説をします。




checkmark.png 2.世論調査(RDD方式)について

世論調査ってありますよね?
様々な社会的な傾向を掴むために行われ、よくニュースなどで見るはずです。

ワイドショーなどでよく見る「街の人100人に聞いてみました!」というのは、世論調査でも何でも無く、単なるアンケートと言います。

世論調査というのは、「標本調査」の一種です。
標本調査というのは、

標本調査(ひょうほんちょうさ)とは、母集団をすべて調査対象とする全数調査(悉皆調査)に対して、母集団から標本を抽出して調査し、それから母集団の性質を統計学的に推定する方法

標本調査 - Wikipedia


です。

本当だったら、日本国民全員に調査(全数調査)をすれば、精度の高い結果を得られます。そりゃ、10人しか国民がいなければ、その10人に聞けば、全体の傾向はつかめますよね。でも、日本は1億2000万人ぐらいいるので、その全てに聞いて回るのは、(正確かもしれないけれど)、コストがかかりすぎてしまうし、そんなことを毎回やることは非常に難しいですよね?

でも、選挙に関しては、国民の意思を問うという大事な機能なので、お金をかけて、基本的には、全数調査を実施しているわけです(有権者に対して)。とはいえ、実際は投票率などを見ると、全数とは全くほど遠い状態ではあるわけですけど。

とはいえ、選挙レベルの調査をテレビでも新聞でもやっていたら破産してしまいます。

10人や100人だったら全数調査は可能だけど…

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ものすごいたくさんの人に対しては、難しい。

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そこで、標本調査という手法がとられるわけです。
でも、その調査すべき母集団というのが、とても大事なポイントで、そもそもの母集団に偏りがあったら、偏った結果が出てしまうのです。

そこで、よく偏った母集団の例として引き合いに出されることが多いのが、1936年に行われたアメリカ大統領選挙です。

実際、世論調査において当時最も信頼に足ると思われていた「リテラリー・ダイジェスト」(The Literary Digest)という総合週刊誌は、200万人以上を対象から回収した調査結果を基に共和党のランドン候補が57%の得票を得て当選することを予想していました。 これに対して、前年に世論調査の業界に参入したばかりのジョージ・ギャラップが率いる「アメリカ世論研究所」(the American Institute of Public Opinion)は、わずか3000という少ない対象者からの回答を基にルーズベルト候補が54%の得票を得て当選することを予想したのです。

アメリカ大統領選挙の番狂わせ(前編)~ 標本調査における偏り①|統計学習の指導のために(先生向け)


結果としては、少ない対象者からの回答を元にした「アメリカ世論研究所」の方が、正確に予想を当てました。

これは、リテラシー・ダイジェストが、母集団の偏りを見抜けなかったからです。


画像引用:アメリカ大統領選挙の番狂わせ(前編)~ 標本調査における偏り①|統計学習の指導のために(先生向け)

どういうことかというと、このリテラリー・ダイジェストは、自身の読者にアンケートを実施していました。この購読者層自体が、大恐慌時代に雑誌購読を続けることができるという、非常に偏りのある母集団になっていたのです(車所有率が高い、年収が高いなど)。

どんなに多くのサンプルを集めても、母集団として偏りが生じているならば、それは意味をなさないという好例です。

では、標本調査は完璧に全体の傾向を表すことができるか?
というと、100%正しいとは言えません。

しかし、母集団の偏りをできるだけ排除すれば、全体の傾向をできる限り正しく掴むことができるのではないか?というのが、統計学が行っていることです。つまり、全数調査ではないので100%の正確性は担保しないが、許容範囲の誤差であれば問題ないであろうというのが、標本調査の基本の考え方です。

そこで、母集団の偏りを排除するために行われるのが、「無作為抽出」というものです。全数に対して、ランダムに選択することによって、母集団の偏りを排除しようという試みのことを指します。

やっと、世論調査(RDD方式)に話が戻って来るのですが、そこで調査対象の抽出でよく行われる手法が、層化二段階抽出法というものです。

例えば、NHKでは、このようにやっています。

世論調査の手順 - 調査相手の抽出 | NHK放送文化研究所
世論調査の手順 - 調査相手の抽出 | NHK放送文化研究所




第1段階:調査地点の抽出
全国を「道北(北海道北部)」から「沖縄」までの18ブロックに分け、18のブロックそれぞれで、市区町村を都市規模と産業別就業人口構成比によって並べ替えます(層化)。 各ブロックの人口数の大きさに比例して300地点を系統抽出します。実際の調査では1調査地点を1人の調査員が担当します。
第2段階:調査相手の抽出
該当する調査地点の市区町村の住民基本台帳から、1地点につき12人の調査相手を等間隔で抽出します。 このように統計理論にのっとって調査相手を抽出した場合は、回答結果の誤差範囲を推定することができます。

世論調査の手順 - 調査相手の抽出 | NHK放送文化研究所


層化というのは、例えば「男女」や「年齢」や「職業」などを、回答に影響があると考えられる要素ごとに個別の母集団として扱うことで、回答への影響を小さくするという方法のことです。


画像引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%99%E6%9C%AC%E8%AA%BF%E6%9F%BB#/media/File:Stratified_sampling.PNG

こうすることによって、偶然であっても母数の偏りが生じづらくするようにしているのです。

例えば、貧困に関する世論調査があったときに、無作為抽出法によって偶然

「裕福」「裕福」「裕福」「裕福」「貧困」

みたいな母集団になることを、極力防ぐということです。

このように世論調査というのは、かなり丁寧にそういう調査上の偏りが生じないような配慮をしていることがわかるはずです。
とはいえ、正確性や問題が無いかと言われれば実はあるのですが、それは4で説明します。




checkmark.png 3.Twitterアンケートの無意味さについて

さて、翻ってTwitterアンケートについて考えてみます。
Twitterでのアンケートは、まず母集団の偏りがあります。なぜ、そのように断言できるのかというと、

母集団の偏りを排除するための仕組みがない

からです。

前述のRDD方式のような、全数に対する無作為抽出法も行われることもなく、層化による層化二段階抽出法も行われていません。まあ、そりゃそうですよね。あったら、逆にコワイ。

Twitterではフォロー&フォロワーとその関連ツィートによってタイムラインが構成されていますよね。そうすると、どうしても似た傾向を持つ者同士が、強い結びつきを獲得していくという傾向があります(嫌いなツィートを流す人をフォローはしないはずです)。
これは、前述のアメリカ大統領選挙において行われたリテラリー・ダイジェストによる調査と変わりがありません。

偏った傾向を持つ母集団に対するアンケートでしかないのです。

それどころか、TwitterやFacebookなどは、アルゴリズムによるタイムラインの編集を行っています。

Never miss important Tweets from people you follow
Never miss important Tweets from people you follow



どのツイートを表示するかは、ツイッター(のアルゴリズム)が決めるのか
どのツイートを表示するかは、ツイッター(のアルゴリズム)が決めるのか



米ツイッター、嫌がらせツイート対策でアルゴリズムの利用拡大
米ツイッター、嫌がらせツイート対策でアルゴリズムの利用拡大




そうすると、興味関心や反応したことがあるアカウントが、さらに優先的に表示されるので、より一層偏った傾向に拍車をかける仕組みになっているというわけです。

さらに言うならば、そもそもTwitterをやっており、さらにそういうアンケートに積極的に答える層というのは、さらに偏った傾向を持つと考えられるのです。

もっと悪意のある捉え方をするならば、Twitterは個人による複数アカウントによるアンケートを排除することはできないので、自分の思い描く回答結果の方に大量回答することも原理的には可能だということです。ちなみにRDD方式は、完全に個人を対象としており、家族が代理で回答するなども認めていません。

したがって、母集団のパイをいくら大きくしても、そもそもの母集団自体の偏りを排除できていないアンケートというのは、趣味の範囲を出ないと言わざるを得ません。

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checkmark.png 4.世論調査の問題点について

さて、Twitter上でのアンケートには、意味が無いということはお分かりいただけたでしょうか?

それでは、世論調査自体には、問題が無いかと言われれば、全くないわけではありません。以下は、現状の世論調査において、排除し切れていない問題についてです。

1.RDD方式による限界
RDD方式は、電話による調査を実施しています。2016年からは、(調査内容によっては)携帯電話にもかけて実施しています。この電話番号自体は、層化二段階抽出法によって、なるべく無作為性を保つ工夫がされています。

しかし、

知らない番号からかかってきた電話でますか?

たぶん、私は出ないです。
しかも、携帯電話ならば、なおさら出ない可能性が高いです(そもそも我が家には固定電話無い)。そうすると、「知らない電話番号からかかってきても、電話に出てしまうという層」という偏りが生じる可能性が出てきます。さらに、働いている人にとって、なかなか電話に出づらい時間帯(たいていは、朝9:00~夜9:00)というのも、偏りを生じさせる原因になっている可能性があります。

とはいえ、RDD方式は単に集まったデータをそのまま使うのではなく、さらに母集団の偏りによって生じたデータも分析段階で均一になるようにしています。ただし、これも母集団の数が、少なくなってしまうと正確性が担保できなくなってしまうという問題点が指摘されています。



2.質問の仕方の問題
質問の仕方によって回答が左右されるということが指摘されています。

例えば、極端な例として

「○○という問題点が指摘されています。△△を支持しますか?」

という質問であるならば、△△の支持は極端に減るはずです。

また、

「○○を支持しますか? 支持する、支持しない」

というのと、

「○○を支持しますか? 支持する、支持しない、どちらとも言えない、分からない」

という選択肢が示されるのでは、結果は違ってきますよね?



3.回収率による信頼度の低下
上でも書きましたが、回答数が少なくなると、誤差の範囲が大きくなりがちになってしまいます。通常想定されている誤差は、数%ですが、これが有効回答数が減ってしまうと、誤差がどんどん大きくなり、10%以上になることも考えられます。
残念ながら、RDD方式による有効回答数は、年々低下傾向にあるとされています。そう考えると、誤差の範囲が徐々に大きくなってきている可能性は否定できません。


とはいえ、だからといって、

Twitterでのアンケートの信頼度が上がるというわけでは一切ありません。


また、世論調査の信頼度に関する記事をいくつか読ませていただきましたが、「固定電話しかやっていない」とか、そもそものRDD方式自体の不理解からの記述など、かなり偏った考えで書かれている記事が多かったことも付記しておきます。
そういう記事を信じて、確証バイアスを高めるのは、あまり良いことではありませんね。

世論調査を実施している各社を丁寧に比較し、その中間ぐらいが概ね正しいと考えるのが、比較的穏当な見方なのかもしれないと考えています。



eyeglass2.png 情報管理LOGの眼
 デマは流すのは簡単だけど、否定するのは難しい

Twitterでのアンケートで(マッチポンプ的に)自らの確信を深めるのは、個人の勝手で好きにやってくださいとしか言えませんが、センシティブな問題について、それが結果だと思い込み流布するのは、社会的な影響としては悪だと言わざるを得ません。
さらに一種のデマであるということに無自覚というのが、頭の痛いところです。
こういうデマに関しては、一度流布したものが信用されやすいというデータもあり、それを打ち消すのは、難しいという研究も出てきています。今後、社会問題として考えていかなくてはいけない問題だなと思っています。




コミュニケーションコストと密度と質と

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情報管理LOGの@yoshinonです。
最近は、LINEを始めとして、即時性のあるコミュニケーション手段が山ほどありますよね。一歩間違えると、コミュニケーション量が上がりすぎて、疲弊してしまうこともあるぐらいです。今まで人間の歴史の中でかつてないほど、コミュニケーションコストが下がりまくっているとも言えますよね。
今回は、コミュニケーションコストが下がることについて考えてみたいと思います。


  
【 コミュニケーションコストと密度と質と 】  

 1.あるマンガを読んだ

 2.コミュニケーションコストの低下と量の増大

 3.密度と質と







checkmark.png 1.あるマンガを読んだ

今回の記事を書くきっかけになったのは、あるマンガを読んだからです。
「届くこと」と題された、ものすごく短い短編読み切りマンガです。
これですね。





LINEに既読がついたのに返信が無い主人公に対して、そのおばあちゃんが、「相手に届いたことが分かるなんていいね」と言うのです。
そして、自分の戦時中の体験が語られていくのですが、とてもコミュニケーションというものについて考えさせられました。

1分ぐらいで読めますので、ぜひ読んでみてください。




checkmark.png 2.コミュニケーションコストの低下と量の増大

一番上でも書きましたが、私たちの生活は、かつてないぐらいにコミュニケーションに関するコストが下り続けています。上のマンガのように戦時中ならば、戦場にいる人に手紙が届くこと自体、奇跡のような感じであったはずです。さらに、今よりも郵便が発達していない時代だったら、手紙1通にかかるコストも時間も多かったはずです。

しかし現在は、限りなく0円に近いコストで(月々のデータ量はかかるけど)他の人と瞬時にやりとりすることができます。
1990年代にビル・ゲイツが、「電話(他者とのコミュニケーションコスト)は、限りなく無料に近づく」と予言したことが、いかに先見の明があったかが分かりますね。




これの究極版が、今のところこういうのですね。
LINEをずっとつなぎっぱなしにしておくことで、遠距離恋愛でありながらリモート同棲を実現するということのようです。なんだか、色んな意味でスゴイとしか言えない。

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実は、これと似たことを私の知り合いの子どもから聞きました。
それは、放課後に友だち同士で、ずっとLINEのグループトークをオンにしておくというもの。ゲームの時ならず、勉強している時も、家族といる時もずっとなのだそうです。
寝落ちしていびきが聞こえてくることや、親から怒られている様子が聞こえることもあるそうなのです。
さすがに「うへ」と思ってしまったのですが、彼らにとっては、それが自然なことで別に気にならないようなのです。ジェネレーションギャップか?

このような(極端な事例ではあるけど)ことを見ていくと、私たちの生活自体、他者とのコミュニケーションに関わるコストが、低下しまくっていることが実感できるはずです。そして、コミュニケーションコストが低下すると、それと正反対に私たちのコミュニケーション量が増大していくのです。

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ゆるキャン△」では、ソロキャンプ中でもLINE(のようなもの)でつながっていて、コミュニケーションしているのが、自然に描かれています。

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checkmark.png 3.密度と質と

さて、そうすると必然的に1件あたりのコミュニケーション密度は、低下していきます。冒頭で紹介した戦時中に恋人に手紙をしたためていたおばあちゃんが、手紙に込めていた言葉の密度感と、常時いつでもメッセージをやりとりできる現在の我々では、1語あたりにこめる密度感が変わってくるのは、必然ですよね?

逆に言えば、密度が低下している分を量と時間で補うというのが、現在のコミュニケーションのありようとも言えます。

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どちらが、質的に上等かなどと言うつもりはありません。けれども、もう一度手紙の世界に戻りたいかと聞かれれば、残念ながら戻りたくはありません。やはり世界中どこにいても、即時性が担保される現状は、テクノロジーの正常な進化なのだと思いたいです。

コミュニケーションコストの低下によって、コミュニケーション密度が低下した分を量と時間で補うことによって成立している現状を手放しで喜べるかというと、それもまた微妙なんですよね。


画像引用:http://www.zenkyokyo.net/survey/313


このようにスマートフォンによる使用時間と学力の関係というのも研究によって、徐々に明らかにされてきています。

結局、平等に与えられているのは、

可処分時間 = 24h

でしかないわけです。
その時間をどのように使うか?というのが、現在の我々に課せられた課題なのかもしれません。


山と食欲と私」の最新刊である7巻でこういうシーンがありました。

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私たちに唯一平等に与えられている時間を何に使うのか?
どうすれば、「自分にとって」幸福が最大化するのか?


きっと、最終的にそれは「マナー」と呼ばれるものになったり、「一人の時間の確保」という課題になったりするのかもしれません。まだ、私たちは新たなコミュニケーションステージの合意形成の途上にいるのです。




 eyeglass2.png 情報管理LOGの眼
 常時接続の歴史は浅い

私たちの歴史を振り返ってみると、ここまで極端に他者とコミュニケーションコストが下がった時代というのは、たぶんありません。人間にとって、常時接続の世界の歴史というのは、始まったばかりで日が浅いのです。
だからこそ、享受し、疲弊し、混乱するのです。
もう少し歴史の積み重ねが必要なのかもしれませんね。個人レベルでの解決策が、全体としてのコンセンサスに至るまでは、時間がかかるのです。






「レッド 最後の60日そしてあさま山荘へ」から読み解く監獄実験

https://gyazo.com/f710d38e096307fc5db28f8a574fa2ad


情報管理LOGの@yoshinonです。
山本直樹の「レッド」面白ですよね。現在は、「」という第2部に入り、いよいよあの「あさま山荘事件」まで描ききるようです。さて、この第2部ですが、私はとても興味深く読んでいます。あの当時の「革命が〜」といったデティールはさておき、この事件の背後にある人間の心理状態に興味があるのです。
というわけで、今回はこのマンガから読み取ることが可能な、有名な「スタンフォード監獄実験」との類似性について書いていきたいと思います。


  
【 「レッド」から読み解く監獄実験 】  

 1.狭く閉ざされた人間関係と役割

 2.エスカレートしていく嗜虐性

 3.立場や役割が麻痺させるstrong>






checkmark.png 1.狭く閉ざされた人間関係と役割

まずは、「監獄実験」とは、何かについてです。
よくただ単に「監獄実験」と略されて使われることもありますが、「スタンフォード監獄実験」という名称の方が通称です。これに関しては、様々なところで解説もされていますし、何度も映画化されてもいます。

有名どころでは、「es」ですね。




この実験は、心理実験として1971年にフィリップ・ジルバドーによりスタンフォード大学において実施されました。
被験者は、その中に普通の健康的な21名(主に大学生)を応募で集めました。模擬的な刑務所を準備しておき、その中に11名の看守役と10名の受刑者役を入れて、刑務所の中の様子を演じさせるという実験でした(役割は、コイン投げで決定された)。当初は、2週間という実験期間でした。しかし、看守役が次第に囚人役に対して屈辱的な態度や行為をするようになり、しかもエスカレートしていったのです。そのため、囚人役の者が、精神に異常を来したりするまでに至りました。この実験は、最終的に6日間で実験停止させられました。実験の中止は、ジルバドーの恋人からジルバドー自身が非難され、それで初めて客観的に実験を見ることができたために中止することができたのです。もしも、それがなければ、もっとひどいことになっていたかもしれません。また、実験中止に際しては、看守役が「当初の話と違う」などと言って、実験続行を望んだという話も付け加えておきます。

ざっくりと概要を掴むならば、WikiPediaを参照すると良いかもです。
きちんとまとまっていると思う。

スタンフォード監獄実験 - Wikipedia
スタンフォード監獄実験 - Wikipedia





この実験によって得られたこととして

・立場や役割が人の人格に大きな影響を及ぼす
 →看守は看守らしく、囚人は囚人らしく振る舞うようになる
・権力構造が、狭い空間において長い時間保たれると、嗜虐性を高める

ことが挙げられます。




checkmark.png 2.エスカレートしていく嗜虐性

そして、この「レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ」では、まさに究極的に、このスタンダード監獄実験で明らかになったことが起こります。



革命闘士になるためという目的のために、総括と称したリンチが繰り広げられるのです。彼ら自身は、「次は自分かもしれない」という恐怖とともに、その仲間内で「○○すべき」という空気から逃れることができず、暴力行為を働きます。
最初は、おずおずと。そして、次第にそれらは、歯止めの利かずエスカレートしていきます。

最初は、拳で殴って総括させた末に死に至らしめていたのが…

https://gyazo.com/d686c9f124547be8d89f0baad201d658



次第にナイフなども使い、殺すことに対するハードルが下がっていきます。

https://gyazo.com/6caa7762fc1e2e2e0ac4953f94dc7845



一部の指導的な立場の人間の暴走を誰も止めることもできず、逆に自分が総括(と称したリンチ)の対象となるかもしれないという恐怖から、むしろ進んで行為に加担するようになってきます。




checkmark.png 3.立場や役割が麻痺させる

私自身は、このあさま山荘事件に関して詳しく知っているわけではなく、この山本直樹氏の漫画で初めて内実を知ったぐらいの知識しか持ち合わせていません。しかし、この漫画で描かれている立場や役割が良心や心情を抑圧し、麻痺させていくという表現には、ものすごくリアル感を感じるし、もしも自分がそのメンバーだったとしたら、どのような行動をすることができていたのか?と考えると、空恐ろしくなります。

最初は、「これは、おかしい」と誰もが思っていても、それを口に出すことができない空気。そして、全体の意思に反したら、同じようにやられるかもしれないという恐怖。
それと同時に全体の意思に巻き込まれることによって、思考停止させることで、楽になっていく様子が丁寧に描かれています。

最初は、仲間の死に衝撃を受けていたのが、次第に仲間の死が身近なできごとになり、そして仲間の死に積極的に加担していくのです。

https://gyazo.com/541afa62c164c0d00e979f9055ce21b7



これと似た話は、ナチスドイツの収容所や731舞台の人体実験など、歴史上枚挙に暇がありません。

ナチスの収容所を生き延びた方のインタビューから抜粋。

Q: 看守は全てひどかったですか? あるいは中には人間らしさや同情する人もいましたか?
A: 兵士たちはみんな自分の仕事をしていました。兵士から同情された覚えはありません。

「私はナチスの7つの収容所を体験した92歳です。アウシュヴィッツのタトゥーもあります。何でも聞いてください」ホロコースト生存者が海外掲示板で質問に答える:らばQ


ナチスドイツのホロコーストのような虐殺に関わった人たちやそれを企図した人たちは、悪魔のような人格をもっていたのではないか?と思う人もいるかもしれませんが、実際はよき父であったり、真面目に職務をこなす人たちであったという研究も出てきています。

731舞台の人体実験では、

731部隊は人体実験が好きな悪魔集団だった、という人がいるけれど、彼らはけっして人体実験が好きなわけではなかった。だからこそ、徹底的な分業にして、それぞれの隊員が何の作業を行っているのか見えなくし、罪悪感も抱かないようにした

731部隊研究の権威が語る「731部隊は悪魔集団だったのか?」 | | まなナビ


とソフィスケートささえ感じさせます。

最後にスタンダード監獄実験を行ったジルババドー自身の言葉で締めくくりたいと思います。

ジンバルドーは、自戒を込めながらも、一部の腐ったリンゴが周りを腐らせて、全体が悪くなっていくのではない、と力説する。腐ったリンゴを作りうる入れ物があって、その入れ物にある状況がもたらされれば、中にあるどのリンゴだって腐りうる。すなわち、誰であっても、システムと状況次第で悪魔になりうるのだと結論する。

あなたの隣にいる普通の人が悪魔に変わる | 今週のHONZ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準






eyeglass2.png 情報管理LOGの眼
 「いじめ」の構造も同じ

学校でよく問題にされることの1つとして「いじめ」があります。ほとんどの人にとって

「いじめ」=「悪いこと」

という認識を持ち合わせているのにもかかわらず、それが起こってしまうというのは、まさに今回取り上げた狭い環境で権力構造がもたらすことであるこということでしょう。これに関しては、さかなクンの名文がありますので、最後にその記事へのリンクを貼っておきますね。

朝日新聞デジタル:いじめられている君へ - 教育
朝日新聞デジタル:いじめられている君へ - 教育


広い海の中ならこんなことはないのに、小さな世界に閉じこめると、なぜかいじめが始まるのです。同じ場所にすみ、同じエサを食べる、同じ種類同士です。

朝日新聞デジタル:いじめられている君へ - 教育



今回の記事について深く知りたい人は、以下の2冊をオススメしておきます。




海賊版サイトのネット接続遮断について反対する理由

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情報管理LOGの@yoshinonです。
先日、「海賊版サイトへのネット接続遮断を検討」というニュースが流れてきました。しかし私は、この施策には、大いに問題があると思っています。
今回は、この海賊版サイトのネット接続遮断について、何が問題なのか取り上げてみたいと思います。

  
【 海賊版サイトのサイトブロックについて反対する理由 】  

 1.ニュースの概要

 2.ネット接続遮断しても根本的な解決にならない

 3.暗号化アプリが登場する可能性

 4.恣意的な運用が可能







checkmark.png 1.ニュースの概要

まずは、ニュースの概要からです。

海賊版サイト、接続遮断も=菅官房長官:時事ドットコム
海賊版サイト、接続遮断も=菅官房長官:時事ドットコム



趣旨としては、以下の通りです。
三行で理解しよう!

・漫画やアニメは、クールジャパン戦略の中の重要なコンテンツである
・海賊版のサイトの被害が深刻化しているという認識を持っている
・海賊版サイトへの対策のために、サイトブロッキングも含めてあらゆる可能性を検討中


この中でもっとも肝心なのは、「サイトブロッキング」について言及したことです。
サイトブロッキングというのは、耳慣れない言葉だと思う人もいると思われますので、一応説明しておきます。

ユーザがウェブサイト等を閲覧しようとする場合に、当該ユーザにイン ターネットアクセスを提供するISP等が、ユーザの同意を得ることなく、 ユーザーがアクセスしようとするウェブサイト等のホスト名、IPアドレス ないしURLを検知し、そのアクセスを遮断する措置をいう。

プロバイダ責任制限法の解釈と運用


技術的なことに関しては、上記のサイトで確認していただきたいのですが、要するに違法なファイルがアップロードされたサーバーにISP側からアクセスできなくするということです。

一応、イメージとしてはこんな感じ。(サイトブロッキングの一例)

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現状としては、漫画村のような、著作権を無視したファイルへのリンクを誘導するようなサイトが、(彼らは法律に触れてないと主張していますが)横行しています。そして、それらが野放しになっていることから考えると、

サイトブロッキングは有効な手段ではないか?

と思ってしまうかもしれません。
しかし、本当にそうでしょうか?





checkmark.png 2.ネット接続遮断しても根本的な解決にならない

まず、政府のというか官房長官の主張として挙がっていた

漫画やアニメは、クールジャパン戦略の中の重要なコンテンツである

ということが、果たしてサイトブロッキングによって改善されるというのでしょうか?
残念ながら、半分YESで半分NOです。

まず、YESの部分。

とはいえ、漫画村などを利用しているのは、ほとんどが日本のユーザーであり、それらを遮断することができれば、そこから利益を得ていた広告収入なども入らなくなってしまうため、サイトを維持する目的を削ぐという意味合いで有効である可能性を否定できません。


次に、NOの部分。

しかし、サイトブロッキングによって遮断されるのは、日本国内のユーザーのみです。しかも、違法に海外にアップロードされたデータは、そのまま海外サーバー存在し続けるのです。つまり、海外で自由に海賊版が、横行していたとしても、国内のユーザーは知るよしもないという状況になるかもしれません。そして、海賊版の横行に関しては、海外の方がより深刻です。つまり、国内から見えなくしちゃうけど、「重要なコンテンツ」保護という観点から考えた時には、保護しているのではなく、被害を見えなくしているだけといえます。

そう考えると、保護しようとしているのは、コンテンツそのものというよりも出版社の利益であるともいえます。そして、クールジャパン戦略というのは、海外に向けた戦略であることから考えると、コンテンツを保護しているのか?と考えると、どうも目的から逸れているように見えるのです。
まあ、出版社の利益を守ることが、次の世代のコンテンツメーカーを育てることにつながると言われれば否定はしませんが、果たしてサイトブロッキングが最上の手かというと疑問です。

情報管理LOG的には、サイトブロッキングに関しては、基本的に反対の立場をとっています。理由に関しては、後述します。




checkmark.png 3.暗号化アプリが登場する可能性

Torというのをご存じでしょうか?

Tor - Wikipedia
Tor - Wikipedia




これは、目的とするサーバーまでの経路を匿名化する技術です。
これによって、サイトブロッキングを回避することができたりするのです。もうすでに国を挙げてサイトブロッキング(金盾)をやっている中国は、このTorを排除するのに躍起になっています。

Torは、有名ですが、他にも匿名通信システムはあります。これだけだったら、漫画村を利用する多くのライトユーザーにとっては、ハードルが高すぎて利用されないでしょう。しかし、これを利用したアプリが出ないとも限りません。非常に簡単に接続可能で、サイトブロッキングされないということが明らかになれば、結果的にはアプリ版漫画村が出現することを阻止するのは、やはり難しいのではないか?と思います。

上でも触れましたが、著作権を無視したデータのアップロードを阻止しているのではなく、単にそれを見えなくしているだけなので、それを回避する術ができれば現状と変わらなくなってしまうのです。





checkmark.png 4.恣意的な運用が可能

情報管理LOGが反対している一番の理由が、このサイトブロッキングが恣意的運用される危険性があると危惧していることです。

上記のように、私にはコンテンツ保護と言いながら、違法にアップロードされたデータが放置され続けるというのは、結局何の保護にもなっていないことに他なりません。

むしろ、サイトブロッキングできるような環境構築をしたいように見えてしまうのです。一度、建前上とはいえ、OKとなってしまった時に、それでは「これも違法だから」と対象を拡大する可能性が、ゼロと言えるでしょうか?

そんな大げさな…

と言う人もいるかもしれません。しかし、歴史上こういうことは、最初は小さなところから始まり、大きく拡大していく方向にシフトしていくことがとても多いのです。
最初は、みんなが同意しやすいところからスタートし、いずれは検閲だらけというのは、珍しくありません。

気づいたら、自分たちにとって不都合だからという理由で必要な情報も全て見えなくされてしまうということが無いともいえません。
まあ、公文書が易々と改竄されてしまうような国において、そういう危惧を念頭においてないと、茹でカエルになってしまうかもしれないなと思っています。

※茹でカエル
生きたカエルを茹でるには、いきなり熱湯に突っ込んだら飛び出して逃げてしまいます。しかし、徐々に温度を高めていって、気づいたら十分熱くなってしまい、気づいたら逃げることが難しくなるという喩え。




 eyeglass2.png 情報管理LOGの眼
 国際的な枠組みの構築と法整備

漫画村のような問題に関しては、どの国も対応に苦慮しているのが現状です。こればかりは、一国だけで何とかできるという問題ではなく、それこそコンテンツ保護の観点から、国際的な枠組みとして対処していかないといけない問題です。そして、クールジャパン戦略と言っているならば、それこそ日本主導でそれを喚起していくことが、本当の意味でのクールジャパンかな?と思うのです。
あと、漫画村に関しては、明らかに著作権を無視したデータへ、明確な意図を持ってユーザーを誘導していることが明確です。これは、現行の著作権法の抜け道をギリギリ(アウトだと思うのですが)すり抜けている状況です。

私的使用の目的で、有償で提供等されている音楽・映像の著作権等を侵害する自動公衆送信 を受信して行う録音・録画を、自らその事実を知りながら行うこと(違法ダウンロード)により、著作 権等を侵害する行為について罰則を設ける等の規定を整備。

著作権法の一部を改正する法律(概要)


というように、静止画だから大丈夫という根拠をここらへんに持ってきているのですが、1枚1枚は静止画でも、コンテンツとしてのまとまりとして漫画(または電子書籍)は成立している部分を勘案するべきではないかと思っています。そして、漫画(または電子書籍)をそういうコンテンツであるという定義し、その上で法整備を進めるべきだと思います。
サイトブロッキングのような対策ではなく、やるべきはまずは上記の2つではないか?
と強く書いておきます。





アルゴリズムで見えなくなった世界と「押し入れ男」

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情報管理LOGの@yoshinonです。
皆さんは、Twitterや、FacebookなどSNSをやっていますか? TwitterやFacebookは、ずいぶん前からアルゴリズムによって、タイムラインに表示する内容を独自にカスタマイズしています。これによって、よく見る内容のものがさらによく表示され、あまり見ない内容のものはどんどん表示されなくなってしまうということが起こっています。
今回は、このアルゴリズムによって起こっている弊害について考えてみたいと思います。



  
【 アルゴリズムで見えなくなった世界と「押し入れ男」 】  

 1.TwitterやFacebookなどが、タイムラインを改変?

 2.読みたい見たい投稿しか見えなくなった世界

 3.「押し入れ男」について







checkmark.png 1.TwitterやFacebookなどが、タイムラインを改変?

Twitterは、2016年頃に。そして、Facebookは2017年頃にタイムラインを独自のアルゴリズムによって表示させるということにしました。

Never miss important Tweets from people you follow
Never miss important Tweets from people you follow


Twitterがタイムライン変更を公表 アルゴリズムを導入
Twitterがタイムライン変更を公表 アルゴリズムを導入


ニュースフィード(タイムライン)の表示順はどう決まる?Facebook・Twitter・Instagramのアルゴリズムを理解してリーチを伸ばすには
ニュースフィード(タイムライン)の表示順はどう決まる?Facebook・Twitter・Instagramのアルゴリズムを理解してリーチを伸ばすには





それ以前は、タイムライン上には全ての投稿が時系列に並んでいました(まあ、タイムラインだからね)。しかし、それだと多くのフォロワーやフォローがいる場合、自分に興味のない投稿もたくさん表示されてしまい、いわゆるSNS疲れが起こる原因ともされていました。

最初の頃は、多くの熱狂的なユーザーの間では、これらの機能はかなり不評でそれをオフにするための方法などが、共有されました。

しかし、大多数のライトユーザーにとっては、特に大きな影響を感じることもなく、それどころか、今まで多数のフォロワーやフォロー数のあった人にとって、混沌としたタイムラインが、なんとなく近しい感じの人が優先的に表示されるようになったように感じ、逆に好ましいという意見も多く見られました。

確かにあまり親しくないフォロワーの大量投稿に悩まされたりすることから解放されるというのは、ある一定層にとってはありがたい感じではありました。



checkmark.png 2.読みたい見たい投稿しか見えなくなった世界

私は、どちらかといえばリベラル派なのですが、とはいえ極端な偏りを持っているわけでもありません。しかし、先日来より盛り上がっている公文書の改竄問題などでは、民主主義の根幹を揺るがす犯罪レベルだという認識は持っています。
※このあたりの議論をしたくて書いているわけではありませんので、クソツィートはいりません。この文章の趣旨をご理解ください。

先日、Twitter上で今回の公文書の改竄問題に関するエクストリーム擁護を揶揄するようなツィートが流れてきたので、それをクリックして読んでいました。「なるほど、そういうアクロバティックな見方をすることも可能なのだな」と半ば感心しながら読んでいました。

しかし、それをいくつか読んだあとに、Twitterのタイムラインに戻ってきてみると、自分のタイムラインが、今までの様子と激変していたのです。もちろん、今まで仲良くさせていただいている方々の投稿は見えますが、それ以外に大量のいわゆるネトウヨの皆さんの投稿がたくさん表示されるようになっていたのです。

そういう記事を読む政治的な傾向を持つ人向けな人だという判断をアルゴリズムが判断したのでしょう。

さて、ここで私は、かなりびっくりはしたものの、逆の意味で恐ろしさを感じたのです。なるべくアンテナを高くして、様々な角度から物事を見ていきたいと思っているものの、少なくともSNS上では、自分が見たい読みたいものに対する強烈なバイアスがかかっているという状況にです。

まるで透明な壁で他の世界と区切られているような感覚です。

そういう世界があると分かってもいるし、理解もしているが、そもそもそれ自体が見えない(見えづらい)ので、認識することが難しいということです。

よい例えかどうかは分かりませんが、例えば「月の裏側」。
月の裏側があるということは理解していますが、それを日常的に目にすることはありません。
それと同じような感覚ですね。

ちなみに月の裏側は、こんな感じ。




きっと、Twitter上で炎上を起こしてしまう人というのは、そういう透明な壁の向こう側にいる人が見えないため、いつも自分の目に見えるタイムラインが世界の全てだという認識になってしまうからなのかな?と思ってしましました。

2018031801.png




checkmark.png 3.「押し入れ男」について

さて、「笑うセールスマン」という漫画をご存じでしょうか?
藤子不二雄Ⓐ氏のブラックユーモアたっぷりの漫画です。
その「笑うセールスマン」のアニメの11話に「押し入れ男」という話があります。
これが、その動画。




アパートの家賃を滞納していた売れない漫画家が、大家さんによって追い出されそうになっていたところ、喪黒福造の計らいによって、押し入れの中で漫画を描けるようにしてくれました。そうすると、まるで今までのスランプがウソのように、安心して漫画を描けるようになり、さらに連載までできそうになるというところまでいきます。
押し入れの中という環境は、まるで母親の胎内のようで、その中でずっと暮らしていたいと思うようになります。しかし、とうとう大家さんに見つかってしまい、追い出されることに…。
責任をとるということで、喪黒福造が押し入れの中のような環境を用意してくれました。「ずっとその中にいても良いが、絶対出ないように」と申し渡す喪黒福造。次第に漫画は軌道に乗り、人気も出てきます。ある時、「喪黒福造が、自分が儲けたお金を独り占めするのでは?」と思い、その部屋から出ようとするのですが、固く閉ざされ出ることができません。必至で壁を叩くと、壁が開き中に光が差し込んできます。光が満面に差し込むビニールハウスの中に建てられたものだったのです。押し入れの中の環境に慣れすぎたその男は、その光に耐えきれず、机の下に潜り込んでずっと出てこれなくなった…。


笑ゥせぇるすまんの怖いトラウマ話ベスト10!! - 仮想通貨とアニメと


という話でした。

先ほどのTwitterのタイムラインを見た時に、真っ先に思い出したのが、まさにこの「押し入れ男」の話でした。

アルゴリズムによって、まるで「押し入れ男」の押し入れのように心地よく、外の世界のノイズが入ってこない世界が、まさに生み出されているのではないかと思ったのです。

自分にとって都合の良い情報
自分にとって耳目が気持ちよい情報
自分にとって考えが共感できる情報


そういうものしか目に入らなくなってしまった世界というのは、まさに「押し入れ男」そのものなのではないかと思うのです。そして、私たちはアルゴリズムによって、透明な壁に囲われた巨大な押し入れの中に入ってしまっている可能性を意識しなくてはいけないと思うのです。




 eyeglass2.png 情報管理LOGの眼
 人は信じたいことを信じる

はてさて、この言葉は、誰の言葉だったのか?と調べてみると、どうやらカエサルの言葉の亜流のような位置づけのようですね。元は、

「ほとんどの場合、人間たちは、自分が望んでいることを喜んで信じる」

まあ、大意は合ってますよね。
しかし、「喜んで信じる」という部分が、カエサルの並々ならぬところだと思うわけです。そう喜んで信じてしまうのです。

コンビニのアイスのケースに入った自分たちを見て、Twitterのみんなは喜んでくれるに違いないと、自分のタイムラインだけを見てそう信じてしまったり。学校の延長で書き込んでいたら、「それいじめだろ!」と炎上したりというのは、この透明な壁によって、いつも目にしている情報がその向こう側にも人が大勢いることを意識させないぐらいになっているのですよね。

今回は、自分への戒めとして書きました。




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