私たちは、メメントの主人公を笑えない

情報管理LOGの@yoshinonです。
先日は、「目に見えることの効用~なぜ脳の中身をアウトプットすべきなのか~」という記事を書きました。その中で思考というのは、フローで、まるで川の流れのようだという例えをしました。今回は、メメントという映画を通して、思考と記憶について考えてみます。
【 私たちは、メメントの主人公を笑えない 】 1.メメントってどんな映画? 2.記憶が残らないというのは実は似てるのかも 3.記録は残る |

メメントという映画をご存知でしょうか?

この映画の主人公は、ある事件のせいで妻を殺され、さらに自身は記憶障害になっており、記憶を長く保つことができなくなっています。しかし、主人公は復讐のために自分の体に、刺青という形で記録を残していきます。間違いなく記憶を失ってしまう自分自身のために、刺青によって記憶を可視化しているのです。
とにかく数分間しか記憶を保てないので、自分の体に残っている刺青だけが唯一の情報なのです。そして、その刺青に描かれていることを頼りに、少しずつ事件の真相へとたどり着いていくという非常にスリリングな物語です。
この映画は、さらにその記録自体も仕掛けとして作用していくのですが(ネタバレになってしまうので観てください。とても面白いです)。
さて、私たちはメメントの主人公を見て、哀れみの目を向けてしまいがちになってしまいます。確かに数分間しか記憶が残らないとするならば、日常生活そのものも破綻しかねません。彼の症状は、「前向性健忘」というある時点以降の記憶を保持できなくなるというものでした。
しかし、私たちはあまり意識していませんが、これと似たようなことを日常的に経験しているのです。
先日の記事にこのような例えを書きました。
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①「そういえば、アレやってなかったなぁ」
②「あ、明日ってアレやる日だっよな」
③「あの準備って、どうなっているんだっけ?」
④「あ、○○に任せていたんだっけ。ホッ」
⑤「ん?でも、昨日までに連絡が来るはずじゃなかったっけ?」
⑥「電話しなくちゃな。」
※電話を取り出す
⑦「アレ、メール来てる」
⑧「子どもの○○の予約?忘れてた…。」
”
この間、わずか1分未満ぐらいでしょうか?
しかし、この間に私たちは、①のことさえ忘れてしまうことってありませんか?
⑧の段階では、もうすでに「子どもの○○の予約」を忘れてしまっていたことで頭がいっぱいなはずです。
前回は、こういう思考の状態を川の流れを例えとして表現しました。

川の流れに浮かんでは消えていくモノをすくい上げているような状態です。もちろん、救っている間もどんどん様々なモノ(思考)は、流れて行ってしまいます。だから、⑧の段階で、「子どもの○○の予約」という記憶をすくい上げたときに、もうすでに①~⑦は流れて行ってしまっているのです。
私たちの脳は、記憶を随時消してくれる機能がついています。全てを覚えていたり、全てを処理しようとすると、脳がオーバーヒートしてしまうからです。とはいえ、何でもかんでも忘れられるのも社会人として困ってしまいます。
メメントの主人公のように体に刺青を入れる必要は全くありませんが、それでも「記録」を残しておくことで、未来の自分に向けて記憶を呼び覚ますトリガーとして機能させることはできそうです。
そもそも、私たち自身は、何度も何度も同じように失われてしまった記憶(や思考)を嘆いているのに、それさえも忘れてしまうということも多々見られます。前日のメメントの主人公のことを笑うことは、全くできないのです。

クリストファー・ノーラン!
メメントを最初に観たときの衝撃は今でも忘れられません。非常に凝ったプロットにカットを多用した映像とか、観ているだけで興奮させられます。そして、ストリー全体の仕掛けなどなど魅力を語り出したら、やめられません。ちなみに、監督のクリストファー・ノーランは、「インセプション」や「インターステラー」などの監督さんでもあるのですね。どれも面白いです。ぜひ、まだ未視聴の方は、ご覧ください。
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