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「100万畳ラビリンス」が面白かった!

2017年10月08日
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情報管理LOGの@yoshinonです。
かなり前から面白いと話題になっていた「百万畳ラビリンス」をとうとう読んでしまいました。これは、一言で言って「とても面白い!」です。
今年読んだ漫画の中でも上位に入ってくるのでは無いかと思いました。というわけで、今回は「百万畳ラビリンス」のレビューです。

  
【 100万畳ラビリンスが面白かった! 】  

 1.大まかなストーリー(ネタバレ無し)

 2.バグそのものを楽しむ








ゲームのテストユーザーとして、ゲームのバグを発見する仕事をしていた礼香と庸子という二人が、どこまでも続いていく畳部屋の迷宮になぜか気づいたらそこにいたというところから話が始まります。100万畳ラビリンスというタイトルもそこから来ているわけですね。

主人公は、礼香と庸子の二人組なのですが、二人は容姿も性格もかなり違います。礼香は、複雑な家庭事情をもっていながらも、あっけらかんとした感じですが、極度の対人恐怖症。しかし、ゲームのバグを発見することにかけては、常人では考えられないほどの発想力を持ち合わており、ある種の才能的を感じさせます。対して庸子は、風貌は若干ワイルドな感じ(最初は、男かと思った…すまん)。しかし、どちらかといえば常識人で破天荒な礼香に振り回されがちです。
表紙の左が礼香で、右が庸子です。




この作品をネタバレ無しで紹介するというのは、かなり困難を極めるのですが、頑張っていきましょう。面白さのエッセンスだけをお伝えできればと思います。

そのどこまでも続く畳部屋なのですが、どこまで行っても誰もいないし、人の気配もありません。しかし、生活感溢れるもので溢れているばかりか、自分たちが住んでいた社員寮に酷似しているのです。さらに、よくよく探検していくと、一見普通の部屋のように見えて、上から下がっている電灯の長さが、でたらめだったり、部屋の構造もなんだかすごく変なこと気づきます。

こういうプロットの作品としては、CUBEという作品が思い浮かぶはずです。



この作品は、男女6人が立方体の部屋に閉じ込められ、そこから脱出できるか?というサスペンスホラー的な映画でした。部屋がどんどん続いていく感じとか、得も言われぬ不条理感など似ていると言えば似ているかもしれません。

しかし、決定的に違うのは、この作品ではCUBEに観られた残酷性や切迫感がまるでなく、どちらかといえば「あっけらかん」としたという感じです。
そして、一番の違いは、このどこまでも続く畳部屋を一種のゲームと見立て、そこに潜むバグを見つけ出そうとしたり、そこの世界観をプログラムの一種と見立てて、どんな仕組みがあるのかを探究しようというところが、この作品のキモなのです。






この作品のキモは、この世界観そのものの探究なのですが、探究の仕方が通常のやり方とかなり異なるところが、この作品を面白くさせています。礼香も庸子もゲーム会社でバグを発見するテストユーザーだったこともあり、こういう世界を見る目も普通の視線とは違います。

こういう系統の作品を読むと、必ず用意された世界観の中で世界観のレールに乗って動く(というかそれ以外は普通考えない)というのが、当たり前のような感じです。しかし、この二人は(特に礼香は)、その空間をその空間ならしめる法則のようなものを発見しようとしたり、逆にその法則そのものを逆手にとったりと、自由闊達に動き回ります。

私も中学生時代にやっていたPCゲームにバグを発見し、そのバグそのものを発生させることを楽しんだという経験がありました。だからこそ、この二人の行動原理は、すごくよく理解できるのですよね。制作者の「意図していない動き」、「予想していない行動」が、バグを引き起こすことに喜びを感じるという点が。

それは、ソフトウェアというプログラマが創り上げたものというのは、そのソフトウェアにとってはプログラマそのものが神のような存在(創造主という意味合いにおいて)なのです。それに対して、1ユーザーが神の意図しない行動によって、神の意図しない事象が出現するというのは、神の裏をかくというスリリングさがあるのです。
そういう意味において、この「100万畳ラビリンス」は、とても面白い物語になっているなと思ったのです。





 eyeglass2.png 情報管理LOGの眼
 一気に読みました

前から気になっていた作品だったので、ワクワクしながら読んだのですが、それを上回る面白さでした。最近のゲームは、よく分からないのですが、昔のレトロゲームだとバグがあるのが、わりと普通だったので、この感覚がすごくよく分かるのですよね。実際、今もソフトウェア上のバグを探すのが面白かったりするし。
なので、そういうのが好きな人には、イチオシしておきたい作品です。それと、最近の漫画家さんらしく(本当はイラストレーターさんらしい)、絵柄がキレイなのもよいですね。今年読んだ漫画の中で確実にベスト10入りしました。





この作者さんの別の作品です。





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