「ロボット・イン・ザ・ガーデン」を読んだよ

情報管理LOGの@yoshinonです。
書店でジワジワと話題になり、重版を重ねた「ロボット・イン・ザ・ガーデン」を読みました。
これは、流行るの分かりますわ。じんわりと温かくユーモアがあって、それでいてちょこっと泣かせてくれる素敵なお話でした。
というわけで、今回は「ロボット・イン・ザ・ガーデン」の感想です。
【 「ロボット・イン・ザ・ガーデン」を読んだよ 】 1.物語の背景 2.ベンとタングのロードムービー的展開 3.これからお父さんお母さんになるかもしれない人たちに |
この物語の主要人物は、3名います。
親が残してくれた遺産のおかげで苦労はしていないのだけど、何事にもやる気がなく、妻ともうまくいっていない、くたびれた男であるベン。
そして、その妻であるエイミー。エイミーは、法廷弁護士でバリバリと難しい案件をこなすやり手のキャリアウーマンです。この二人が、暮らしているイギリスの片田舎に家に、どこからともなく変なロボットのタングが現れたところから物語は始まります。
この物語の背景としては、家庭用ロボットがすでに浸透しており、家事や運転、秘書など様々な場面で人間を支える存在としていたるところにいるのです。その形状は、色々あるようですが、概ね人型をしており、私たちのイメージする人に近いアンドロイド的な感じでしょうか。
しかし、ベンとエイミーの家に現れたタングは、それらと全く違うおもちゃのロボット的な形状をしているのです。
まさに、この表紙に描かれた酒井駒子さんの絵のようなイメージ?

話す言葉も要領を得ず、カタコト過ぎて何を知っているのかよく分からない感じでした。なぜかタングに心を惹かれたベンでしたが、逆にエイミーは「早く捨てろ」とイライラするばかりです。
そして、日頃のすれ違いも重なり、とうとうエイミーは家を出て行ってしまうのでした。

さて、ここから物語は、一気に加速していきます。
加速とはいえ、やはりのんびりしたテイストのままなのですけどね。
タングの体の中にあるガラス瓶の黄色い液体が、徐々に漏れてきており、心配になったベンが「直さないとタングが死んでしまう」と思い立ちます。タングについていた錆びたプレートを唯一の手がかりとして、タングを連れて、世界を半周する旅に出るのでした。
あまり書きすぎるとネタバレになってしまうので、これ以上書きませんが、ここからは序盤の停滞していたどんよりとした感じから、一気にロードムービー的な展開を見せ始めます。
この中で最初は意思の疎通もままならなかったタングとベンですが、少しずつ心が通い合うようになっていきます。このあたりは、子どもの成長とベンの成長物語としても読むことができるかもしれません。
とにかく、どう見てもおもちゃ的な容姿のロボットを引き連れた中年男という異色の組み合わせなのですが、旅が進んで行くに従って、お互いがお互いの存在を尊いものとしてなくてはならない存在になっていくのです。

さて、これ以上書くと本格的にネタバレになってしまうので、これ以上は書けませんが、これからお父さんお母さんになるかもしれない人たち、そして以前お父さんお母さんだった人たちにこそ、ぜひ読んでもらいたいなと思いました。
作中の主人公ベンは、子どもに興味がありませんでした。自分自身もいつまでも亡くなった両親の面影を追っているような子ども性を抱えています。逆に妻のエイミーは、最初は仕事が面白くてキャリアウーマンの道を歩んできていましたが、そろそろよい年齢なので、チャンスとして子どもが欲しいと願うようになっています。
けれども二人に足りなかったのは、色々ありますが、一番なのは面倒な存在(子ども=タング)を受け入れ、それをかけがえのないものとして感じるためのハードルを高く設定しすぎていたことです。つまり、子どもを受け入れるための(心の)準備を万端に整えないと、赤ちゃんを育ててはいけないと思いすぎていたということでしょうか?
我が家も忘れた頃に子どもを授かりました。思いもかけない感じで全く心の準備なんてなかったのですが、それでも妊娠期間を通して気持ちが徐々に変化していきました。そして生まれてからの怒濤の生活の変化に戸惑いながらも、日常を過ごしている中で、徐々に「お父さん」や「お母さん」になっていきました。なんて、偉そうに書いてますけど、100点満点なんてほど遠く、ベンと同じような感じかもしれません。
最初思い描いていた感じとは、少し違っていましたが、そもそも理想の子育てなんてもの自体がフィクションで、実際はタングとベンのように日々の格闘が日常をつくっていくのかもしれません。
だからこそ、これからお父さんお母さんになる人たちに読んでもらいたいなと思うのです。大丈夫!みんな偉そうに言っているけど、実はこんな感じだよって。
そして、元お父さんお母さん達にもオススメしたいです。
あの騒々しい日々ってこんな感じだったよなと、懐かしく振り返ることができるはずです。

素敵な話なのでぜひ!
ずっと本屋さんに平積みされていたので、気になっていたのですよね。でも、読んで本当に良かったです。ちょっとマンガチックな表現もありますが、それでもベンとタングのやりとりをずっと見ていたくなる、そんな魅力がありました。
そうそう、なんと「ロボット・イン・ザ・ガーデン」の続刊が出たようです。「ロボット・イン・ザ・ハウス」というタイトルで最近出たばかりのようですよ。
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