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「ハリーオーガスト15回目の人生」はリプレイもののSFの傑作だ




情報管理LOGの@yoshinonです。
先日、「ハリーオーガスト15回目の人生」という作品を読みました。久しぶりのSFだったのですが、これがなかなかの傑作だったので、今回はご紹介したいと思います。500ページ?そんな長さを感じさせず、一気に物語のドライブ感に巻き込まれますよ!


  
【 「ハリーオーガスト15回目の人生」はリプレイもののSFの傑作だ 】  

 1.物語の概要

 2.単なるリプレイじゃない







checkmark.png 1.物語の概要

まず、物語の概要ですが、ネタバレなしで書くのは、なかなか至難を極めます。しかし、これから読む人の楽しみを奪わない程度に書いていきたいと思います。

主人公であるハリー・オーガストは、何度も同じ時代を繰り返し生きて死ぬというカーラチャクラと呼ばれる人です。ループものでよくあるような一定の時間を繰り返すというものではなく、丸ごと一生を繰り返すのです。しかし、ループものにありがちな全く同じ人生を送るわけではありません。むしろ、毎回違う人生を自分で選択することができるのです。でも、その時代に起こる大まかな事件や時代の流れは、変わりませんし、親や最初の境遇は変わりません。しかし、ある程度自分の意志を持ち始めると、そこから自分で生き方を変えることが出来るのです。彼は、1919年初期に生まれ、おおむね1980~90年代ぐらいに死ぬことになっています。しかし、その死の時期もその人生のたびに違うというのが、この設定の面白いところです。つまり健康に留意して過ごしてれば、長生きするし、自殺して短く人生を終わらせることもできるのです。

しかも、ハリー・オーガストは、全てを記憶しているという特殊な体質(? まあ、こうやって何度も人生をやり直すこと自体かなり特殊だけど)によって、かつての人生の全てを記憶しているのです。この能力は、この物語において大きな意味を持っていきます。

さて、このカーラチャクラですが、物語中には一人どころかたくさん出てきます。それどころか、そのカーラチャクラ同士で連絡を取り合い、一種の互助会的なクロノスクラブという組織をもっているのです。そして、このカーラチャクラというのは、時代を超えて存在するのです。これが、俄然それまでのループものとは一線を画するものとしています。つまり、1700年代~1700年代後半をずっとループする者もいれば、2000年代~2100年代をループしている人もいるということです。過去から未来にまで続いていくループの輪が、少しずつ重なり、時を超えた組織になっているのです。時代から時代へ、過去から未来へ、未来から過去へメッセージを伝言することができるのです。この段階でもう面白さしかないですよね?

えっ?面白さを感じない?
そういう人は、たぶん合わないので、他の本を読みましょう。
普通の人間の人生は短いです。

そういう物語上の下地があり、ある日死の床にあるハリー・オーガストのところに、未来から伝言が届くのです。その死の床にあるハリー・オーガストに小さな女の子(もちろん、カーラチャクラ)が、「世界の終わりが来るのが早くなっている」という伝言が…。




checkmark.png 2.単なるリプレイじゃない

ループものといえば、有名なSFとしては「リプレイ」や


今、かなり有名になってしまっている乾くるみの「リピート」がありますね。





それ以外にもマンガだったら、三部けいの「僕だけがいない街」や


Death Note」などで有名な小畑健の「All You Need Is Kill」などがありますね。




ループものというのは、そういう意味では一大ジャンルといえば一大ジャンルなんですよね。でも、かなり散見されるジャンルではあるものの、この「ハリーオーガスト15回目の人生」は、そんな枯れた設定を全く新しい手法で、ぐいぐい読ませるのです。

先ほどのクロノスクラブもそうですが、そのループする者がたくさんいるという設定もそうですし、それらが組織を作っているというのも面白い考え方ですよね。また、ループものにおいては、たいていは幼少期からスタートするのではなく、途中の限られた時間設定の中でループするものが多いのですが、この作品では、生まれてから死ぬまでが繰り返されるという設定のお陰で、時間をまたいだ壮大な伝言ゲームが可能になっているというのもなかなか面白いです。

このクロノスクラブがあることによって、何度も生まれ変わるカーラチャクラにとって一番だるい時期である幼少期を乗り切りやすくしているという話もなるほどと思いました。確かに全ての記憶を持ったまま、幼少期は辛すぎる…。


ここからは、ほんの少しだけネタバレが、含まれます。
もしも、読み終わっていないならば、読み飛ばしてください。
まだ、購入してない、読み始めていないという人は、非常にラッキーです。これを初めて読めるのですから。
あと、助言ですが、絶対にあとがきを最初に読むな!!
















この物語にドライブ感をもたせているのは、宿敵ヴィンセント・ランキンスがいるからです。

ヴィンセント・ランキンスは、カーラチャクラであり、ハリー・オーガストと同じ全てを記憶しているという特殊能力者なのです。彼こそが、世界の終焉を早めている張本人なのですが、その手法がとんでもなく、まさにカーラチャクラで、さらに全てを記憶できるからこその方法でやろうとしています。世界を解き明かすことを至上の命題としているヴィンセント・ランキンスは、その時代(や世界)がどうなろうと知ったことではなく、未来で実現されるであろう技術をどんどん前倒しにしていくという荒業によって、成し遂げようとするのです。彼は、自分の人生を重ねることによって、前の人生で成し遂げた業績を元手にさらに時代を加速させるという手法をとります。
それを食い止めることができるのか?

カーラチャクラは、何度も生まれて死ぬを繰り返しますが、しかし完全に殺す方法がないわけではありません。
それは、ループものにありがちではありますが、本人が生まれる原因になる母か父を殺すか、胎児のうちに殺してしまうことです。これが、この物語にサスペンス的要素をもたらします。つまり、自分が生まれる起点を知られてしまったら、存在が消されてしまうのですから。そもそもなかったことになってしまうという恐怖。

このあたりの駆け引きが、この物語の真骨頂と言えるでしょう。
何度も人生を交錯させながら、次第に高まっていくスリルと緊張感!たまらないです。

さて、最後になりますが、大きなネタバレになりますので、物語を本当に楽しみたい人は、本当に読まないでください。



原著のタイトルは、表紙にも小さく書いてありますが「The First Fifteen Lives of Harry August」となっています。たぶん、読む前には気づかないと思いますが、「最初の15回目の人生」なんですよね。
これは、邦訳の段階で「ハリーオーガスト15回目の人生」とタイトルにしたのは、本当に慧眼だったと思います。




eyeglass2.png 情報管理LOGの眼
 ループもの楽しいです

ループものというのは、SFの1大ジャンルなわけですが、大抵は個人がどのようにそれに対して立ち向かうか(または向かわないか)が描かれることが多いです。しかし、この作品は、個人を超え、さらに時空を超えていくという着想の素晴らしさが、今までにない面白さを生み出しています。

途中でも書きましたが、まだ読んでいない人がうらやましいです。
そして、読み終えた方々一緒に語りましょう。

500ページ?あっという間ですよ。


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