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「レッド 最後の60日そしてあさま山荘へ」から読み解く監獄実験

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情報管理LOGの@yoshinonです。
山本直樹の「レッド」面白ですよね。現在は、「」という第2部に入り、いよいよあの「あさま山荘事件」まで描ききるようです。さて、この第2部ですが、私はとても興味深く読んでいます。あの当時の「革命が〜」といったデティールはさておき、この事件の背後にある人間の心理状態に興味があるのです。
というわけで、今回はこのマンガから読み取ることが可能な、有名な「スタンフォード監獄実験」との類似性について書いていきたいと思います。


  
【 「レッド」から読み解く監獄実験 】  

 1.狭く閉ざされた人間関係と役割

 2.エスカレートしていく嗜虐性

 3.立場や役割が麻痺させるstrong>






checkmark.png 1.狭く閉ざされた人間関係と役割

まずは、「監獄実験」とは、何かについてです。
よくただ単に「監獄実験」と略されて使われることもありますが、「スタンフォード監獄実験」という名称の方が通称です。これに関しては、様々なところで解説もされていますし、何度も映画化されてもいます。

有名どころでは、「es」ですね。




この実験は、心理実験として1971年にフィリップ・ジルバドーによりスタンフォード大学において実施されました。
被験者は、その中に普通の健康的な21名(主に大学生)を応募で集めました。模擬的な刑務所を準備しておき、その中に11名の看守役と10名の受刑者役を入れて、刑務所の中の様子を演じさせるという実験でした(役割は、コイン投げで決定された)。当初は、2週間という実験期間でした。しかし、看守役が次第に囚人役に対して屈辱的な態度や行為をするようになり、しかもエスカレートしていったのです。そのため、囚人役の者が、精神に異常を来したりするまでに至りました。この実験は、最終的に6日間で実験停止させられました。実験の中止は、ジルバドーの恋人からジルバドー自身が非難され、それで初めて客観的に実験を見ることができたために中止することができたのです。もしも、それがなければ、もっとひどいことになっていたかもしれません。また、実験中止に際しては、看守役が「当初の話と違う」などと言って、実験続行を望んだという話も付け加えておきます。

ざっくりと概要を掴むならば、WikiPediaを参照すると良いかもです。
きちんとまとまっていると思う。

スタンフォード監獄実験 - Wikipedia
スタンフォード監獄実験 - Wikipedia





この実験によって得られたこととして

・立場や役割が人の人格に大きな影響を及ぼす
 →看守は看守らしく、囚人は囚人らしく振る舞うようになる
・権力構造が、狭い空間において長い時間保たれると、嗜虐性を高める

ことが挙げられます。




checkmark.png 2.エスカレートしていく嗜虐性

そして、この「レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ」では、まさに究極的に、このスタンダード監獄実験で明らかになったことが起こります。



革命闘士になるためという目的のために、総括と称したリンチが繰り広げられるのです。彼ら自身は、「次は自分かもしれない」という恐怖とともに、その仲間内で「○○すべき」という空気から逃れることができず、暴力行為を働きます。
最初は、おずおずと。そして、次第にそれらは、歯止めの利かずエスカレートしていきます。

最初は、拳で殴って総括させた末に死に至らしめていたのが…

https://gyazo.com/d686c9f124547be8d89f0baad201d658



次第にナイフなども使い、殺すことに対するハードルが下がっていきます。

https://gyazo.com/6caa7762fc1e2e2e0ac4953f94dc7845



一部の指導的な立場の人間の暴走を誰も止めることもできず、逆に自分が総括(と称したリンチ)の対象となるかもしれないという恐怖から、むしろ進んで行為に加担するようになってきます。




checkmark.png 3.立場や役割が麻痺させる

私自身は、このあさま山荘事件に関して詳しく知っているわけではなく、この山本直樹氏の漫画で初めて内実を知ったぐらいの知識しか持ち合わせていません。しかし、この漫画で描かれている立場や役割が良心や心情を抑圧し、麻痺させていくという表現には、ものすごくリアル感を感じるし、もしも自分がそのメンバーだったとしたら、どのような行動をすることができていたのか?と考えると、空恐ろしくなります。

最初は、「これは、おかしい」と誰もが思っていても、それを口に出すことができない空気。そして、全体の意思に反したら、同じようにやられるかもしれないという恐怖。
それと同時に全体の意思に巻き込まれることによって、思考停止させることで、楽になっていく様子が丁寧に描かれています。

最初は、仲間の死に衝撃を受けていたのが、次第に仲間の死が身近なできごとになり、そして仲間の死に積極的に加担していくのです。

https://gyazo.com/541afa62c164c0d00e979f9055ce21b7



これと似た話は、ナチスドイツの収容所や731舞台の人体実験など、歴史上枚挙に暇がありません。

ナチスの収容所を生き延びた方のインタビューから抜粋。

Q: 看守は全てひどかったですか? あるいは中には人間らしさや同情する人もいましたか?
A: 兵士たちはみんな自分の仕事をしていました。兵士から同情された覚えはありません。

「私はナチスの7つの収容所を体験した92歳です。アウシュヴィッツのタトゥーもあります。何でも聞いてください」ホロコースト生存者が海外掲示板で質問に答える:らばQ


ナチスドイツのホロコーストのような虐殺に関わった人たちやそれを企図した人たちは、悪魔のような人格をもっていたのではないか?と思う人もいるかもしれませんが、実際はよき父であったり、真面目に職務をこなす人たちであったという研究も出てきています。

731舞台の人体実験では、

731部隊は人体実験が好きな悪魔集団だった、という人がいるけれど、彼らはけっして人体実験が好きなわけではなかった。だからこそ、徹底的な分業にして、それぞれの隊員が何の作業を行っているのか見えなくし、罪悪感も抱かないようにした

731部隊研究の権威が語る「731部隊は悪魔集団だったのか?」 | | まなナビ


とソフィスケートささえ感じさせます。

最後にスタンダード監獄実験を行ったジルババドー自身の言葉で締めくくりたいと思います。

ジンバルドーは、自戒を込めながらも、一部の腐ったリンゴが周りを腐らせて、全体が悪くなっていくのではない、と力説する。腐ったリンゴを作りうる入れ物があって、その入れ物にある状況がもたらされれば、中にあるどのリンゴだって腐りうる。すなわち、誰であっても、システムと状況次第で悪魔になりうるのだと結論する。

あなたの隣にいる普通の人が悪魔に変わる | 今週のHONZ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準






eyeglass2.png 情報管理LOGの眼
 「いじめ」の構造も同じ

学校でよく問題にされることの1つとして「いじめ」があります。ほとんどの人にとって

「いじめ」=「悪いこと」

という認識を持ち合わせているのにもかかわらず、それが起こってしまうというのは、まさに今回取り上げた狭い環境で権力構造がもたらすことであるこということでしょう。これに関しては、さかなクンの名文がありますので、最後にその記事へのリンクを貼っておきますね。

朝日新聞デジタル:いじめられている君へ - 教育
朝日新聞デジタル:いじめられている君へ - 教育


広い海の中ならこんなことはないのに、小さな世界に閉じこめると、なぜかいじめが始まるのです。同じ場所にすみ、同じエサを食べる、同じ種類同士です。

朝日新聞デジタル:いじめられている君へ - 教育



今回の記事について深く知りたい人は、以下の2冊をオススメしておきます。




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