イーデザイン損保の&e(アンディー)が怖い件について

情報管理LOGの@yoshinonです。
東京海上日動のイーデザイン損保が始める「&e(アンディー)」が、ちょっと怖いなと思ったので、これを皆さんにお知らせする意味で考えるきっかけにしていただけたらと思います。
今やIoT花盛りですが、それと保険が組み合わさったら何が起きるのか?なども含めて考えていきます。
【 イーデザイン損保の&e(アンディー)が怖い件について 】 1.イーデザイン損保の&e(アンディー)とは? 2.&e(アンディー)と旧商品との比較 3.個人情報保護の取り扱いはどのように変わったか? 4.IoTによる保険が組み合わさると… |
先日、車の保険の満期が近づいて来たので、更新しようと色々検討していたところ、東京海上日動のイーデザイン損保(正確には、別会社となっていますが中身は一緒)が、ものすごく「&e(アンディー)」という商品をプッシュしてくるのです。というか、今後はこれに一本化するぞ!ぐらいの感じでした。

さて、この「&e(アンディー)」という自動車保険の商品ですが、どのようなものなのでしょうか?
いつもの情報管理LOGが扱っている内容と系統が違うようにも思いますが、ネット専用のダイレクト型である点と、この「&e(アンディー)」がIoTを利用した全く新しい形の自動車保険になりうる点が、合致しそうです。まあ、それで興味を持ったわけなのですが、見れば見るほど、読めば読むほど闇深いと感じてしまいました。
まずは、こちらの動画をご覧ください。こちらは、公式で出している動画です。
契約すると、このような機器が送られてくるそうです。

画像引用:”お客さま目線”を追求した、&e(アンディー)の事故対応|&e(アンディー)|共創する自動車保険
チロルチョコよりちょっとだけ大きいぐらいのサイズですね。
これを車のダッシュボードなどに設置し、スマートフォンとBluetooth接続します。
そうすると、運転に関する様々な情報が取得できるのです。
安全運転をサポートしてくれたり、「&e(アンディー)」のデータを活用して事故のない社会を作り出すことを目指したり、事故の時のサポートにも役立てるようです。

画像引用:【公式】イーデザイン損保|新自動車保険「&e(アンディー)」
他にもリーズナブルな保険料とか様々なよいことが書かれています。

画像引用:【公式】イーデザイン損保|新自動車保険「&e(アンディー)」
「良いことずくめじゃん!」
って思いますよね。
そう思ったあなたは、純粋すぎますよ?
公式サイトでは、比較が載せられています。

画像引用:保険料の違い | 自動車保険の&e(アンディー)
ほぉ、安いじゃん!
って思いますよね?
でも、これあくまで「保険料のイメージ」ですからね。
これをおおよその各年代および等級で比較してみると、こんな感じになります。
※2022年7月段階のおおよその比較です。
まあ、等級などによっては、変わることもあるかと思いますが、概ねこんな感じかと。
イメージは、あくまでイメージですからね。
さらに割引き関係はどうなるかというと、こうなります。

画像引用:保険料の違い | 自動車保険の&e(アンディー)
ほとんどの割引きが消失してしまいます。
さて、これでお得と言えるか?
私は、言えないと思うのですよね。(※個人の感想です)←こう書かないとアレだしね。
さて、情報管理LOG的には、商品の金額比較とかをしたいわけではなく、それよりももっと重要なことがあるのです。
IoTデバイスということは、常にその情報は収集され続けていることになります。
収集されるデータとしては、実はちゃんと明らかになっていません。私が見落としただけという可能性もありますが、明記されていないように思います。もしも、「ここに書いてあったよ!」というのがあれば、教えてください。
ただし、様々な記載内容を総合すると、以下の2つを収集しているのは間違いありません。
・位置情報
・加速度情報
イーデザイン損保では、この4月にお客さま情報の取扱方針が変更になりました。
※調べて初めて知りましたけどね。
お客さま情報の取扱方針
<個人情報の取得について>
改訂前

改訂後(2022年4月)

※赤線は、筆者
<個人情報の利用目的について>
改訂前

改訂後(2022年4月)

※赤線は、筆者
<個人データの第三者への提供について>
改訂前

改訂後(2022年4月)

※赤線は、筆者
相当、盛り込まれていますね。
私的に一番引っかかったのは、ここですね。

「ご本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがある場合」ってどんな場面やねん!!
さすがに閉口してしまいました。
<グループ会社および提携先企業との共同利用について>
改訂前

改訂後(2022年4月)

※赤線は、筆者
今のところ提携先企業はないようですが、このあたりウォッチが必要な感じがしますね。まあ、想像通りイーデザイン損保のグループ企業には、位置情報含めシェアされると。
ちなみに、今年の4月に個人情報保護法が改正されたのはご存じでしょうか?
【2022年4月施行】 個人情報保護法改正とは?改正点を解説! (新旧対照表つき)
この記事のまとめ 改正個人情報保護法(2022年4月施行)のポイントを解説!! 「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」(2020年6月12日公布)では、個人の権利利益の保護などを目的として、個人情報保護法が改正されました。改正ポイントは、6つです。 ポイント1 本人の権利保護が強化される ポイント2 事業者の責務が追加される ポイント3 企業の特定分野を対象とする団体の認定団体制度が...
今回の改正のポイントは、6つです。
・ポイント1│本人の権利保護が強化される
・ポイント2│事業者の責務が追加される
・ポイント3│企業の特定分野を対象とする団体の認定団体制度が新設される
・ポイント4│データの利活用が促進される
・ポイント5│法令違反に対するペナルティが強化される
・ポイント6│外国の事業者に対する、報告徴収・立入検査などの罰則が追加される
個人情報保護に関する事業者への取り扱いが厳しくなったのです。大変良いことですね。
イーデザイン損保の「お客さま情報の取扱方針」は、そのあたりを見据えてだと思うのですよ。しかし、上記で挙げたように「!?」と思わざるを得ない部分もあるわけです。
さて、ここからは私の考えになるので、同意されない方はぜひともTwitterなどでご意見いただけるとありがたいです。
イーデザイン損保では、この「&e(アンディー)」について良い面しか書いていませんが(まあ、そりゃそうですね)、実際はもっと被保険者としてはあまり都合の良くないこともこれから起こることが予想されます。
こういうIoT機器と保険の組み合わせって相性が良いと思うのですよね。
今までは、保険会社がそれぞれの被保険者の情報を得る方法というのは、契約締結時の自己申告の情報(これは、保険会社間である程度共有される。等級とかね)か、事故やトラブルが実際に発生した時ぐらいです。
しかし、これからは、常に運転者の情報が保険会社に提供され、それが保険料などに影響する可能性も否めません。急ブレーキ、急ハンドルをする車の運転手は、次年度の更新時に保険料が高くなるなど容易に予想がつきますよね。
ちょっと考えて欲しいのですが、今まではどのような運転をしようが保険が必要になった時に利用するというのが、自動車保険との付き合い方でした(もちろん、それは乱暴な運転を推奨するというものではないですよ?)。
しかし、これからは日常レベルから、自分の運転が査定の対象になっていく可能性があるなんてうんざりしませんか?
しかも、どこに行ったのかさえも常にウォッチされているという…。
さらに、それらが国の機関もしくは地方公共団体またはその委託を受けた者に対して
「ご本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがある場合」
に無断で提供されると。
さて、何に使用されるのかな?
こういうIoT機器の最も嫌な使われ方をされそうで、私は非常に暗い気持ちになっています。

マジモンの監視社会よね
監視社会を創造する人達は、絶対に「これからお前達を日常レベルで監視するからな!」なんて死んでも言いません。そういう人達の常套句は、「安心安全な社会の実現のため」とか「より生命の安全性に向けて」とか見栄えの良い言葉で言います。
中国の新疆ウイグル自治区ですら「テロリストによるテロ行為を許さない社会の実現に向けて」みたいなお題目が成り立つわけです。だからこそ、一見良さそうな見栄えの良い言葉には、一層注意深くありたいですね。そういうわけで、私は「&e(アンディー)」は契約しませんでした。
監視文化の誕生 社会に監視される時代から、ひとびとが進んで監視する時代へ
posted with AmaQuick at 2022.07.04
デイヴィッド・ライアン(著), 田畑 暁生(翻訳)

2717円

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