最近知った言葉たちを淡々と挙げつつ説明してみる

情報管理LOGの@yoshinonです。
先日、「分からない言葉はScrapboxに入れると良いよ」という記事を書きました。実は、数年前からずっと続けていた習慣だったのですが、思いのほか刺さった方がいたようでした。Scrapboxの使い方としては、まあ標準的な使い方だと思うのですが、本人が当たり前と思っていることが、他の人にとって新しい何かのきっかけになることって私も多々あるので書いた私も嬉しかったです
さて今回は、そんなScrapboxにストックした最近知った言葉をいくつかピックアップしてみたいと思います。もしかしたら、「知らないキミが無知なだけじゃない?」と言われてしまいそうですが、自分の知らない言葉は誰かにとっても知らない言葉かもしれないので、書いていきたいと思います。
【 最近知った言葉たちを淡々と挙げつつ説明してみる 】 1.オンディーヌの呪い 2.W.E.I.R.D 3.シミュラクラ現象 4.FOMO 5.レジリエンス |
この「オンディーヌの呪い」は、こちらの記事を読んでいるときに出てきた言葉です。
勝ち組にしか未来のない人生100年社会は、個人より社会が間違っているんじゃないの?
「私たちはどう年を取るのが望ましいか?」 いつの時代にもこうした問いはあっただろうし、私もずっと問い続けている。 これからの世の中、どう年を取っていけばいいのかわかった気がしない。
この記事は、「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略」という本についての書評記事です。こちらの本ですね。
LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略
posted with AmaQuick at 2022.07.16
リンダ・グラットン(著), アンドリュー・スコット(著), 池村 千秋(翻訳)

1782円

1782円
その記事の中で本の引用として示されていた部分に書かれていたのが、この「オンディーヌの呪い」です。
既存の3ステージの人生のモデルのまま、寿命が長くなれば、私たちを待っているのは「オンディーヌの呪い」だろう。永遠に動き続ける運命を背負わされたパレモンと同じように、私たちはそれこそ永遠に働き続けなくてはならなくなる。どんなに疲れ切っていても、立ち止まれば生きていけないのだから。人生は不快で残酷で短いという、17世紀の政治思想家トーマス・ホッブズの言葉は有名だ。これよりひどい人生は一つしかない。不快で残酷で長い人生である。それは厄災以外の何物でもない。休む間もなく働き続け、退屈な日々を過ごし、エネルギーを消耗し、機会を生かせず、そして最後には貧困と後悔の老後が待っているのだ。
この「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略」では、「オンディーヌの呪い」を働き続けないと死んでしまう状態のことを称してそのように形容していました。
実は、「オンディーヌの呪い」とは、医学用語なのです。
睡眠時無呼吸症候群の一つに“オンディーヌの呪い”が知られている。睡眠時に自発呼吸が停止する病態である。フランスの劇作家ジロドウの戯曲「オンディーヌ」に因んで「オンディーヌの呪い」(Ondine’ curse)とも呼ぶが、この命名には異論がある。
睡眠時無呼吸症候群とは、寝ているときに一時的に無呼吸状態になってしまう症状のことを指すのですが、これによって睡眠不足や高血圧,脳卒中,心筋梗塞などの虚血性肺疾患の発生を増加させるらしく、決して楽観視できるような症状ではないようです。
で、そのオンディーヌとは、何かというとフランスの劇詩人ジロドゥーの戯曲でこのような内容だったようです。
オンディーヌは湖水の近くで見かけた美男の若い騎士ローレンス卿と結婚するが,ローレンス卿は結婚に際して自ら,「目覚めているあいだ,息をするたびにあなたへの愛と忠節を誓いましょう」とオンディーヌに言った。しかし年が経ち,オンディーヌとの間に子供ができ,彼女の美貌が衰えてきた頃ローレンス卿は彼女を裏切ったのである。オンディーヌは夫に向かって「あなたは目覚めているあいだ,息をするたびに私への忠節を誓うと約束しました。しかしその誓いを破りましたから目覚めているあいだは息ができるが,一度でも眠ったら息は止まり死ぬでしょう」と呪いの言葉を浴びせたのである。
まさに、睡眠時無呼吸症候群のように眠りに落ちると呼吸が止まって命の危険があるというのと酷似していますよね。先ほどの記事では、長寿になっても働き続けていないとダメな社会は社会システムとして間違っているのではないか?と疑問を投げかけています。
だがそうでない長寿が巷に溢れ、不快で残酷で長い人生に陥る確率がすごく高い状況が当然とみなされ、そのような高齢者が過半数を占める社会になっていくとしたら、それは個々人のライフスタイルの間違いである以上に、社会が間違っている、と私たちは言わなければならないのではないだろうか。
まさに、「オンディーヌの呪い」のような状況だというわけです。
この言葉は、「超相対性理論」というポッドキャストで触れられていた言葉です。「超相対性理論」は、COTENラジオで名を馳せた深井竜之介氏を始めとして、超頭の良い人達が、視聴者を若干置いてけぼりにさせつつ、知的に楽しい逸脱なども繰り返しながら、議論を深め新しい価値を考えるポッドキャストです。その中で出てきたのが、この言葉でした。
この言葉の意味も含めて、概要も説明されているので、ぜひ聴いてみてください。
世界の心理学の研究発表されている実験参加者の90%以上が「W.E.I.R.D」と呼ばれる国々の出身者だったことが明らかにされています。そうすると、それらの国の人々の文化的背景による影響を完全に排除しきれておらず、実はそれらのいわゆる西洋化した人達の文化的影響が心理実験に影響を与えている可能性があるのではないか?という指摘です。
W.E.I.R.Dはそれぞれ
・western(西洋の)
・educated(教育を受けた)
・industrialized(工業化した)
・rich(豊かな)
・democratic(民主的な)
の頭文字をとったものです。
確かにイスラム圏とか共産圏の人達に同様の実験をした場合、もしかしたら必ずしも同じ結果になると言えないかもしれませんよね。今まで心理学的に生得的な反応だと思われていたことも、実は文化的なコードによる後天的なものであったものかもしれないということを、「W.E.I.R.D」という言葉は、指摘しているのです。いわゆるサンプリングバイアスがあったかもしれないという指摘ですね。
気になった方は、こちらの2つの記事も参考にしてみてください。
How knowledge about different cultures is shaking the foundations of psychology
Psychological phenomena have long been thought of as universal. But it turns out scientists may have been blinded by their own culture.
発達心理学におけるサンプリングバイアス
Nielsen, M., Haun, D., Kärtner, J., & Legare, C. H. (2017). The persistent sampling bias in developm
この言葉ね…知っていたんですよ。でも、脳からすっかり抜け落ちてしまっていて、概念の理解だけあるという状態だったので、再発見みたいな感じでした。
まず、この言葉の説明の前にこの画像を見てください。


これらの画像は、顔に見えませんでしたか?
というか、顔に見えちゃいますよね?
人間は、3つの点を見るとそれを顔として認識してしまいがちになってしまう現象を「シミュラクラ現象」というのです。この現象についての理解はしていたので、子どもが生まれて間もない頃に3つの点を書いた絵を見せたらどんな反応をするのかやってみたら、本当に顔だと思ったようで、ニコニコしたり手で触ろうとしたりするなどの反応が見られました。ぜひ、赤ちゃんのいる家庭は、試してみて欲しいと思います。
「FOMO」は、「Fear Of Missing Out」の略です。
この言葉は、「研エンの仲」というポッドキャストで初めて知った言葉でした。
「FOMO」は、取り残される不安・恐怖のことを指します。2011年にNew York Timesが、この現象を取り上げ「FOMO」と名付けたことで広まったようです。
この概念については、このあたりの引用が分かりやすいと思います。
みんなが集まるパーティやイベント、話題のお店など、大きな行事に自分が参加しないことに対して恐怖心を抱いたことはないだろうか。みんなが行くのに自分だけ行かない、そこで何か大きな出来事があったらどうしよう、話題に乗り遅れたらどうしよう……。そう考えると不安が募り、いてもたってもいられなくなる。どんなに疲れていても、パーティに行かずにはいられない。そのうち現実社会のイベントだけでなく、情報からも取り残されたくないという恐怖を感じる。そうして、SNSをこまめにチェックしないと不安に襲われてるという症状である。
誰しも感じることが少なくともあったりするのではないでしょうか?特にSNSをついチェックしてしまうという人は、まさにこれに近い状態かもしれないですね。
聞いたことあった様な気がしていたけど、意味を完全に理解し切れていなかった言葉でした。
これは、困難な状況や不利な状況に対して、上手く対応できる能力を指します。
反対の概念としては、「脆弱性(vulnerability)」になります。

画像引用:レジリエンスとは? 意味、具体例、高める方法、ストレスとの関係 - カオナビ人事用語集
Wikipediaに良い例が載っていたので、載せておきます。
具体的に解りやすい例がPTSDである。 1995年のアメリカの論文には、アメリカ人の50% - 60%がなんらかの外傷的体験に曝されるが、その全ての人がPTSDになるわけではなく、PTSDになるのはその8% - 20%であるという[6]。2006年の論文では、深刻な外傷性のストレスに曝された場合、PTSDを発症するのは14%程度と報告されている[4][7]。では、なる人とならない人の差は何か、というのがこのレジリエンスである。
つまり、レジリエンスの高い人ほど、PTSDになりにくいと考えられるということです。

もしも間違っていたらご指摘ください
つい先日まで知らない言葉だったので、もしも間違っていたらご指摘いただけるとありがたいです。こうやって、知らない言葉だけをまとめるのではなく、その意味や付随する内容も含めてScrapboxにまとめていると、ある日突然つながったりしてすごく面白いのですよね。今回の記事を書くにあたり、さらに補足した言葉もあったりして、まさにこれが「EverGreen Notes」だなと感じた次第です。
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