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シンギュラリティは静かに訪れる

2023年03月27日
考察 0
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情報管理LOGの@yoshinonです。
いやぁ、ここ最近のAI関連の速度感ヤバイですよね。
もはや、完全補足は無理と若干諦めて、メジャーどころをおさえるぐらいでも精一杯という状況です。
さて、今回の話題は「シンギュラリティ(技術的特異点」です。AIが人を超えるというアレですね。2045年には訪れるのではないか?などと言われたりしていますが、果たしてどうなるのか分からない状況になってきました。
今回は、その「シンギュラリティ」はいつ来るのか?の、その「いつ」について考えてみたいと思います。



  
【 シンギュラリティは静かに訪れる 】  

 1.「シンギュラリティ」とは何か?

 2.「シンギュラリティ」は2045年にくるのか?

 3.「シンギュラリティ」はいつ来る?








まず、「シンギュラリティ」とは何か?です。
シンギュラリティの定義としては、ウィキペディアに書かれているのを引用しましょう。


技術的特異点は、汎用人工知能 (en:artificial general intelligence, AGI) [8]、あるいは「強い人工知能」や人間の知能増幅が可能となったときに起こるとされている出来事であり、ひとたび自律的に作動する優れた機械的知性が創造されると、再帰的に機械的知性のバージョンアップが繰り返され、人間の想像力がおよばないほどに優秀な知性(スーパーインテリジェンス)が誕生するという仮説である。




米国の数学者ヴァーナー・ヴィンジにより最初に提唱されて、超天才発明家であるレイ・カーツワイルも提唱する概念です。
上の定義は、ちょっと難しく表現していますが、超ザックリ簡単に言うと

人間の知性を上回るAI

のことだと考えてもらうと良いかと。
しかも、AI自体がさらに自身を改良して知能の向上を図っていく状態を言います。

ここで話がややこしくなるので、以下のように整理したいと思います。

1.人間の知性を上回る状態
2.AI自身が、自身の知能を向上させることができる状態


これらが同時に起こるのがシンギュラリティであると言えそうです。
シンギュラリティ概念の第一人者であるレイ・カーツワイル氏が唱えた「収穫加速の法則」という概念があるのですが、これは

一つの重要な発明は他の発明と結び付き、次の重要な発明の登場までの期間を短縮して、イノベーションが加速する

というものです。
現在のChatGPTを始めとしたAIの加速ぶりを考えたり、この数ヶ月の状況を見ると、この加速度感は実感できるのではないでしょうか?





シンギュラリティの到来に関しては、様々な説があります。

2020年代には、到達するのではないか?いや、2030年代だ。
一般的には、2045年だと色々な推測が起こっています。

よく聞く2045年説は、カーツワイルによるものですが、実際は彼は2029年と予言しています。


カーツワイルは、そのような出来事は2029年頃に起きると予測している。カーツワイルは、2045年頃には、1000ドルのコンピューターの演算能力がおよそ10ペタFLOPS=一般的な人間の脳の100億倍にもなり、技術的特異点に至る知能の土台が十分に生まれているだろうと予測しており、この時期に人間の能力と社会が根底から覆り変容すると予想している





2045年というのは、それが1000ドルのコンピュータで実現するということですね。
そう考えると、かなり早い時期に私たちの眼前に登場しそうな気がしますね。

人間を凌駕する[AI]の登場が、2029年
シンギュラリティ到達が、2045年


ちなみに、レイ・カーツワイルは、様々な技術的な予測をしており、それをことごとく当てているのですよね。
2005年段階で予言していた

・スマートフォンやスマートウォッチの隆盛
・家庭用掃除ロボットの普及
・VRメガネの登場
・10TBのストレージ(人間の脳の記憶容量に相当)が1000ドルで購入できる

などなどです。
ちなみに、2008年にiPhoneが初登場ということを考えると、この人の先見の明はなかなかですよね。





実は、ここからが今回の本題です。
情報管理LOGとしては、シンギュラリティはいつ来ると予測しているかです。

まず、結論を書いておくと、

その時点で気づくことはできない

です。
あとで振り返ったときに、「あそこが、シンギュラリティだったのかもしれない」と曖昧な感じになるだろうということです。
そして、それは学説レベルで定説が出るまで、かなり議論の的になるであるということです。

1でも書いたように「シンギュラリティ」の定義的として

1.人間の知性を上回る状態
2.AI自身が、自身の知能を向上させることができる状態


があります。
シンギュラリティ的には、強いAIというものであるとされています。「強いAI」というのは、汎用AIとも呼ばれるもので、個々に人間を上回る性能を持つAIではなくトータルで人間を上回るAIのことを指します。

先日、発表されたGPT-4に関しては、米国の司法試験で上位10%に達するまでになりました(GPT-3は、確か下位30%だったはず)。




そうなると、もはや知能という面に関していえば、ある分野において軽く人間を凌駕しつつあると言えます。まあ、そんなことはこの10年ぐらいの将棋AIなどを見れば明らかなではあるわけですけどね。
シンギュラリティにおいては、そういう部分特化したものではなく、汎用性のあるということが前提になっています。将棋で人間を凌駕したからといったからといって、イコール人間全てを凌駕したことにはなりませんよね?

しかし、ここ最近の大規模言語モデルを見ていくと、かなりの汎用性を持ち得ているようにも見えます。しかも、GPT-4に至っては、画像からも読み取ることができるとなれば、もはやそれは「目」を獲得しつつあることを示しているとも言えるでしょう。「収穫加速の法則」から考えると静止画を読み取ることが獲得できれば、動画からの読み込みも可能になる日も近いと考えることもできます。

収穫加速の法則 - Wikipedia


そうやって、毎日のようにAI技術の加速のニュースがどんどん流れてきたときに、私たちの知性との比較して、いつの段階で上回ったと言えるのか?ということは見逃されていくと思うのです。というか、

この技術が発明されたので、ここからシンギュラリティが起きます

となど、明確に言い切ることはできないのです。
私たちのどれぐらいが、米国の司法試験に合格できるか?と考えたら、もはやかなりの部分は上回っていると考えても良いでしょう。
それでも、私たちは生身の人間の素晴らしさや優れている点を挙げて、上回ったことを認めたがらない可能性は高いです。たぶん、それが人間の特性だから。
また、AIが人間と全く同じ形で知性を発展させるとは限らない点も注目しなくてはなりません。そのため、それが上回っていると計測することも難しいでしょう。

そういうわけで、シンギュラリティはあとで振り返ったときに、初めて認識されるものであると考えています。




 eyeglass2.png 情報管理LOGの眼
 受け止める準備は必要かもね

シンギュラリティというと大げさに「人類の破滅だ」とか「人間を不要なモノと判断するに違いない」みたいなことを言う人がいますが、別にそんなことは無いと思いますよ。まあ、そんな言葉を言うAIが出てくるかもしれませんが、それが直接人類の破滅とは、直結はしないでしょう。
それよりもやっかいなのが、いつまでも人間側がシンギュラリティが起きたことを認めたがらない可能性の方です。
人間には、1個の脳しかありませんが、AIは実質無限に増設可能な演算装置があるわけなので、そもそも競うこと自体がナンセンスです。人と車が競争して、人間の方が負けたからといって、人類は滅亡しないのと同じだし、そもそもそんな競争に意味が無いことは、みんな分かっています。人類はニューロンという生化学的に発展してきた知性の結晶ですが、AIは全く違う出自なのです。それらが、別々に発展していくことに何の不都合もありません。ある程度の法整備は必要でしょうが、人間と同程度またはそれを上回る存在になったときは、パートナーとして共存する道が良いのでしょうね。
少なくともまずは、シンギュラリティを受け止める準備だけは、しておいた方が良さそうです。



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