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「ルワンダ中央銀行総裁日記」を読んでみた

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情報管理LOGの@yoshinonです。
つい最近、話題になっていた「ルワンダ中央銀行総裁日記」を読んでみました。異世界召還もののラノベっぽいなどと言われていましたが、果たしてどんなものかということについて、書いてみたいと思います。


  
【 「ルワンダ中央銀行総裁日記」を読んでみた 】  

 1.どんな本?

 2.逆境と改革

 3.職域を超えて目的に向かう

 4.ルワンダ大虐殺、そして







checkmark.png 1.どんな本?

先日、このようなまとめが上がっていました。

「まるで異世界召喚」「内政チートや」…名著「ルワンダ中央銀行総裁日記」は「ライトノベル的に面白い」という切り口に反響 - Togetterまとめ
「まるで異世界召喚」「内政チートや」…名著「ルワンダ中央銀行総裁日記」は「ライトノベル的に面白い」という切り口に反響 - Togetterまとめ





どうやら、その昔、アフリカのルワンダに中央銀行総裁として招かれた日本人がおり、とんでもない活躍をして、その後の経済発展に結びつけたということらしい。

そこで、すぐに読んでみました。
これね。


この本自体は、1972年に上梓されたもので、今回話題になっているのは、その増補版として改めて2009年に出版されたものです。初出は、相当前ですね。

実際、著者の服部氏は、1966年にルワンダ銀行中央銀行総裁として招かれ、そこで仕事をした日々を、率直に書かれています。
ちなみに、海外での銀行の経験や日銀で働いていたという経歴の持ち主で、相当の切れ者です。







checkmark.png 2.逆境と改革

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上のまとめでは、異世界召喚ものとか、その初期の待遇のひどさがとりだたされていますが、実際の本の中でも似たような感じでした。

 ・銀行に携わっている人自体が、ほとんど銀行のことをよく分かっていない。結果的に仕事をやらせても時間はかかるわ、間違いだらけ(仮にも国の中央銀行の話ですよ?)
 ・職員が、やる気がなくて、勤務管理も超いい加減(途中でいなくなっても分からない)
 ・大蔵大臣も経済のことをよく分かっていない感じ(!)
 ・国自体が、非常に貧しく、恒常的に財政赤字
 ・外貨も底をつき始めている
 ・通貨切り下げを要求されている
 ・各大臣のバックには、旧植民地時代由来の会社が相談役としており、結果として常に旧植民地や会社の利益が優先されるような進言しかしない
 ・銀行内には、派閥がある
 ・各省は、予算も執行もどんぶり勘定
 ・外国人商人が幅を利かせていて、そのいいなり



とまあ、きりが無いほど劣悪な条件です。
自分だったら、どうするだろうか?と、しばし頭を悩ませました。

服部氏のすごいところは、沈着冷静でありながら、すごくポジティブなところです。
そんな状況で、「そんな最低な状況だからこそ、何をしても改革になるだろう」と割り切っているという姿勢は見習いたいですね。

さて、そんな状況でも少しずつエンジンを回していきます。
これは、腐敗した組織の立て直し、などにも役立つ方法論なので、自分なりにメモ。

 ・仕事上の間違いは、しっかりと指摘していく。場合によっては、自ら率先してやる
 ・同時に仕事の仕方に関する教育係を設け、職能向上を図る
 ・勤務実態の把握と綱紀粛正→汚職などは、解任
 ・人事の公正化→恣意的な昇級昇進は廃止、俸給表の設定、人事考課課の設置
 ・外部の人材活用→教育係や実務面など一時的な補強


基本的には、一つ一つは、特段すごいことではないのですが、それらを複合的に馬車馬の如く改革を推進していくところに、この人のすごさがあります。
また、この服部氏の改革の手法で真似できるポイントとしては、

 ・感情に流されずに、しっかりと客観的な分析を心がける
 ・周囲の進言が妥当かどうかを、きっちり冷静に見極める(これ案外難しい)
 ・公正中立を心がける
 ・必要とあれば、他の人の手を借りる
 ・目的を中心に据えて物事に取り組む
 ・偏見の目を持たず、きちんと話を聞いた上で判断する
  →この当時は、アフリカ系黒人に対する偏見が少なからずあった


どちらにしても、ものすごい胆力と有能さであることが、読んでいくうちに伝わってきます。






checkmark.png 3.職域を超えて目的に向かう

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さて、服部氏のすごさというのは、単に中央銀行総裁にとどまっていなかったことであるように思います。経済停滞の理由の一つとして、外人商人たちが努力もせずにほぼ独占的に物品を取り扱い、正当な競争が起きていなかったり、内需がないがしろにされたりしているということでした。
また、他のアフリカ諸国が、工業を主軸に経済発展を目指していて苦戦している中、服部氏は、「ルワンダ人は、働き者が多い」と見抜き、農業を主軸に起きながら、それを起点に経済発展を図ろうと画策していきます。

そこで、現地の商人達がやる気がないのではなく、そのための機会が無かったことに目を付けて、自国商人への奨励策を実行したり、そのための物品輸送のトラックの買い付けなどを交渉したり、物品を保管するための倉庫を建築させたりと、もはや中央銀行総裁の仕事とは思えないところにまで踏み込んでいきます。

服部氏の真骨頂は、目的のためには、職域を超えてどうすべきかということを考え、アクションを策定し、実際に省庁の枠を超えて行動していくことです。もちろん、暴走ではなく、きちんとした手続きは経つつ、様々な人を巻き込んでいく姿勢は、一中央銀行総裁のスケールを超えた活躍に映るはずです。

また、最終的には、他国の援助ありきな立ち直りではなく、自国民が自分たちで統治し、発展していけるような体制の構築にまで、考えが及んでいるというのも、本当の意味で、グローバルな人材であることが分かります。単にお金だけ出して、その後の発展にまで考えが及ばないような国に聞かせてあげたい話です。





checkmark.png 4.ルワンダ大虐殺、そして

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服部氏の改革によって、自国経済が回り出し、経済発展への道を歩み出したところで、ルワンダを去るところで初版の「ルワンダ中央銀行総裁日記」は、終わります。
しかしながら、歴史の皮肉なところは、それで終わらないところです。

フツ族によるツチ族の大虐殺が、勃発してしまうのです。

今回の増補版では、そのあたりに関する服部氏の考察が載せられています。実際にニュースで流されていたこととは違う、現地に精通している氏ならではの視点で語られます。

現在、ルワンダは、アフリカの奇跡と呼ばれるぐらいに、経済発展を遂げています。服部氏が、指し示した自国の一次産業の振興を起点に経済発展させていくという意思が(たぶん)引き継がれ、その後の発展の道筋となったように思われます。






 eyeglass2.png 情報管理LOGの眼
 八方ふさがりのように思える状況でも打開策はある

ネット上では「ラノベの世界観っぽい」などと言われたりもしましたが、実際に読んでみると、めっぽう面白い小説のような展開に興奮します。でも、これ実話なんだよな。

今回、この本を読んでみて、八方ふさがりのように思える状況でも、明確な目的と冷静な状況判断と粘り強い取り組みによって、打開できる可能性があるということに気づけました。

最後に服部氏が、本文の最後に書いた一文を引用します。

「途上国の発展を阻む最大の障害は人の問題であるが、その発展の最大の要素もまた人なのである。」

「途上国」という部分は、何にでも置き換えられますね。



上記でも触れたルワンダ大虐殺を題材にした映画。名作です。


こちらも、ルワンダ大虐殺を知る意味でも大事な本。

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