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バイアスの種類について

2016年05月12日
考察 0
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情報管理LOGの@yoshinonです。
昨日、「「むかしの子供は丈夫だった」と生存者バイアス」という記事を読みました。

「むかしの子供は丈夫だった」と生存者バイアス - 【ネタ倉庫】ライトニング・ストレージ
「むかしの子供は丈夫だった」と生存者バイアス - 【ネタ倉庫】ライトニング・ストレージ



確かに私も小さいころに、目上の方々から「最近の子供は本当に弱くなった~云々」という話を何度もされました(今から数十年前ね)。しかし、実際はそんなことはなく、単に病弱な子どもは、昔は生き残ることができづらかったために、結果として健康優良児のみが残ったに過ぎないということでした。観察者目線に立ったときに、周囲に健康な子どもばかりしか目に映らなければ、「昔の子は、元気な子どもばかりだった」というように思うのでしょう(実際は、死んでしまったり、観察者の目線に入らない場所にいる可能性がある)。

このサイトでは、生存者バイアスと呼んでいました。つまり、生き残った者達目線だけで考えると、そうではなかった者が除外されてしまい、偏った分析になってしまうということです。

ちょっと、前置きが長くなってしまいましたが、今回はこの様々なところで使われる「バイアス」について、ちょっと調べてみました。
※なるべく簡易的な言葉で書くようにしたので、理解が間違っていたり、表記として間違っていたりしていたら、コメントなどでご指摘ください。



  
【 バイアスの種類について】                

 1.「バイアス」って何?

 2.選択バイアス

 3.情報バイアス

 4.交絡

 5.認知バイアス

 6.バイアスについて知るためのガイド








1.バイアスという言葉の意味

バイアス【bias】の意味 - goo国語辞書
バイアス【bias】の意味 - goo国語辞書





辞書的に見てみると…


1 織物の布目に対して斜めであること。また、それに沿って裁った布地。バイヤス。「生地を―に使う」
2 「バイアステープ」の略。
3 真空管やトランジスターを適切に作動させるため、その端子間に加える直流電圧。バイヤス。

㋐社会調査で、回答に偏りを生じさせる要因となるもの。質問文の用語や質問の態度などについていう。
㋑先入観。偏見。


この場合、上記の例で使われていたのは、4の部分ですね。「偏り、偏見、先入観」というような感じでしょうか?


2.バイアスを大きく分けると
バイアスは、大別すると3つに分けられます。

・選択バイアス:対象,条件を選択するときに生じる偏り。
・情報バイアス:観察方法や測定方法で生じる偏り。
・交絡:因果関係とは別の第3の因子によって、真の因果関係が過小に評価される偏り。


これに、今回は、もう一つ

・認知バイアス:認知心理学や社会心理学で取り上げられることが多い、ヒューリスティックエラー。

と書いても、よく分からないと思いますので、もう少し例などを交えて1つ1つ説明していきます。







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対象となるサンプルが、本当の全体像から見て、偏っていると正確さが損なわれるというものです。一番最初に挙げていた「生存バイアス」などは、それですね。

例えば、

成功した社長さんに話を聞いた「成功の秘訣」は、果たして信用に足るか?

という疑問では

成功する前に倒産した会社の社長さんが実践していた「成功の秘訣」と同じではないと言い切れるでしょうか?
つまり、サンプルに偏りがあることが分かります。



では、次に

ブラック企業で健康調査を行ったときに、その会社の社員はおおむね良好であると判定されました。それは、信用できるか?

という場合では、どうでしょう?

これは、休職していたり、退職してしまった人が含まれていないので、その判定は信用できません。






これは、正確に得られない情報を元に判断してしまうというものです。

例えば、たいていの人は過去の記憶がおぼろげになってしまいますが、長く病気を患っている人は、そのこのとについて鮮明に覚えていることが多いため、対照群として考えたときに、不正確になりがちになってしまう。(思い出しバイアス)

他にも、
自分が、病気を患っていて、それについての理解度が高まっているときには、自分の家族内で何かの病気が起こっていることに気づきやすいということが起こるそうです。つまり、病気がちな方の家の方が、対照群としてそうではない家庭より病気の発見が多くなりがちになるということです。「ある病気が発生している家庭では、他の病気も多くなる」というのは、ダウト!といえるということです。







これが、一番分かりづらいのですが、でも一番起こりやすいかな?と思います。

Aの場合、Bが起こる

という因果関係があったとします。

しかし、それとは関係の無い因子Cが、まるで因果関係があるかのように勘違いしてしまうバイアスのことです。

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例えば、

飲酒が多い人は、喉頭癌にかかる可能性が多い

という場合、

実際は、喫煙と喉頭癌は、因果関係(直接的な原因と結果の関係)にあります。しかし、喫煙者は、飲酒することが多いため、まるで飲酒が、喉頭癌と関係があるように思うのです。
つまり、ダウト!ですね。

このように全く関係の無いCが、入り込むバイアスが入り込む可能性があるのです。

○○を毎日食べていると、癌が少なくなる!

という言説が見かけられますが、果たしてそれは、因果関係なのでしょうか?それとも、交絡なのでしょうか?まあ、ほとんどが、交絡でしょうね。






認知バイアスというのは、認知心理学や社会心理学で扱われることが多いバイアスです。すごーく簡単に、ざっくり言うと、「勘違い」ってやつです。

実は、3の「情報バイアス」の一種と考えても良いと思います(すみません、違っていたらご指摘ください)。

今回、あえて別枠として扱ったのは、日常生活で非常に目にする機会が多いからです。そして、かなり細かくカテゴライズされていて全てを紹介するのは大変なので、代表的なモノをピックアップしてみました。考え方を知れば、応用できそうですよね?



後知恵バイアス:物事が起きてから、まるでそれが自分が予想したいたと考えてしまう。

「あーそれね!俺は、最初から予想してたよ!」(後出しじゃんけん的)



確証バイアス:自分の信じたいことに対する情報ばかりを集めてしまう傾向。逆に反証は、見ないようにする傾向。

最近は、これの例に事欠かなさすぎて、あえて例を挙げるまでもないですね。歴史修正主義者の皆さんは、まさにこれですよね。



根本的な帰属の誤り:個人の気質的や個性の面を重視しすぎて、環境やその人の置かれた状況を軽視する傾向。

「黒人は、犯罪者が多い」
「○○地区に住んでいる子は、頭が悪い」
いずれも、個人の所得や生育環境という条件を丸々無視した発言であることが分かります。所得と犯罪率は、統計的にも有意な関係にあるので、別に人種は関係ないのです。



正常性バイアス:自然災害や事故など、間近に迫っていても、今までの状態が維持されると思い込んでしまう傾向。

「地震起こったけど、津波は来ないわよ」
東日本大震災でそういう傾向が多く見られたとのことです。



アンカリング:はじめに目にした数字や物事が、後の判断を大きく替えてしまう傾向。

「1万円でどうですか?えっ、高い?では、7000円に値引きいたします」
実際は、7000円の価値のモノを売るときに、最初から7000円を提示するよりも、あえて高めの設定にしておき、それを値引きしたように見せかけた方がよく売れる。



バンドワゴン効果:大多数が賛成している、大多数に受け入れられているという場合、さらに一層そちらへの支持が増すこと。

「食べログで☆が4つ以上なので、美味しいに違いない」
「○○候補は、人気なので、○○候補に投票する」
大多数の人が、支持しているものの方が、さらに支持されてしまう。自分の判断を他人の判断にゆだねてしまう傾向。



内集団バイアス:自分が所属する集団の方が、他の集団よりも高く評価してしまう。

「うちのクラブチームは、絶対他のチームよりかっこいい選手が多いって!」
「○○ファンクラブの方が、他の□□ファンよりも応援してるよ」
これも、わざわざ説明する必要も無いぐらい分かりやすいですね。



代表性バイアス:ステレオタイプなものの見方や傾向。

「あのチェックのシャツにメガネは、アニメオタクだ」
様々な判断をするときに脳に負担がかからないように、今まで見てきたものから直感的に判断してしまう。



損失回避:利益から受ける効果より、損失で受ける苦痛の方が、大きく感じられる傾向。

「今、1000円もらったけど、さっき落とした1000円もったいなかったな…。」



フレーミング効果:言っていることは同じでも、表現によって判断が変わってしまう傾向。

「この薬を使うことによる生存率は、95%です」
「この薬を使うことによる死亡率は、5%です」
言っていることは同じだけど、前者の方が、薬を使う傾向が高い。



単純接触効果:何度も見たり聞いたり、繰り返し近くにいる人の方が好感度や印象が良くなる傾向。

遠くにいる理想の人よりも、身近にいる親しい人の方と結婚する



バーナム効果:誰にでも当てはまることを、自分一人だけが当てはまると思い込む傾向。

占い師「あなたは、たくさんの人の中にいても孤独を感じることが多いですね?」
血液型占いなども、それです。






バイアスそのものを知ることも大事なのですが、その前に因果関係と相関関係ということを知っておく方が、理解が早まると思います。
というわけで、この2つの記事が、参考になります。
この関係が、分かるとなぜバイアスが、生じるのかということが、理解しやすくなりますよ。

因果関係がないのに相関関係があらわれる4つのケースをまとめてみたよ(質問テンプレート付き) - Take a Risk:林岳彦の研究メモ
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「ダメな科学」を見分けるための大まかな指針」のポスター解説(3)「相関関係と因果関係の混同」 - うさうさメモ
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ダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」は、人間の意志決定のメカニズムについて、とても分かりやすく説明していきます。名著ですね。Kindle版が出て、安くなりました。





もう少し簡単な本の方が良いなぁという人は、こちらもオススメです。必ずしもバイアスの話ばかりではないですが、とても分かりやすく脳のエラーが起こる仕組みや例を解説してくれます。






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 バイアスのない世界はない

実際問題として、バイアスのかかっていない状況というのは、なかなか考えにくいものです。しかし、一番最初に紹介した「昔の子どもは、元気で病気なんてしなかった」という言説をはじめとして、自分に都合の良いように情報を解釈したり、そもそも情報を見ていても自分にとって都合の悪い情報はカットしてしまうなど、様々な事例には事欠きません。

少なくとも、上に書いたバイアスを少しでも意識しているだけで、随分と「思い込み」から抜け出せやすくなるのです。「人は、エラーを起こすもの」という前提条件をきちんと自分自身にも適用できるかが、バイアスから抜け出す近道なのかもしれませんね。




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