niftyの@homepageが1ヶ月後に終了に思うアレやコレ

情報管理LOGの@yoshinonです。
niftyのホームページサービスである@homepageが、9月29日で終了します。かなり前から告知していたようですが、ほとんどのホームページが移行されないままになっているようです。
そのせいで、相当数のホームページが、削除される見込みです。この規模は、国内としても、前例を見ない規模になります。今回は、このniftyの過去の資産が大量に失われることについて考えてみたいと思います。
【 niftyの@homepageが1ヶ月後に終了に思うアレやコレ 】 1.niftyのホームページサービスが終了します 2.過去の遺産がごっそり失われる問題 3.図書館における廃棄図書のように考えても良いか? 4.NPO案件のような気がする |
かなり前からniftyが、ホームページサービスである@homepegeを終了するというアナウンスをしていました。この@homepegeは、インターネットの初期の頃から多くの人に親しまれ、一時期はかなりの規模を誇っていました。
それが、いよいよおよそ1ヶ月後の9月29日に完全閉鎖することになりました。
インフォメーション | @homepage:@nifty
相当前からアナウンスしていたものの、実際に新サービスに移行したホームページ(以下、HP)は、わずかな量しかなかったそうです。※あえて、サイトとかではなく、ホームページと呼ばさせていただいています。
さて、その完全閉鎖に伴う削除されるHPの数は、およそ14万ぐらいだそうです。これは、過去様々なサービスが終了に伴い、閉鎖してきたHPから比較しても最大級になるようです。

niftyとしては、アーカイブするというようなことは示されておらず、基本的には削除という方向性が示されています。これは、上にも書きましたが、国内としては過去最大級であり、デジタルデータが大量消失するというできごとになります。
1990年代のHPデータに何の資産価値があるの?
※主にその年代のデータが多い。
と思われる方も多いかと思います。
確かに今見てみると、インターネット創世記の頃の面影を残すホームページ群は、妙に懐かしい感じがするものが多いです。手打ちでタグ打ちしていたものや、ホームページビルダーなどでフルスクラッチで制作していたものも多いです。現在のCMS全盛の外見から考えると、データ量も、見かけも、かなり劣るのは間違いないです。
しかし、それでもできるならば、アーカイブして欲しいと思っています。
それは、現在としては、価値がないように思われるデータであっても、後世から見ると価値を帯びてくる可能性がないとは言えないからです。例えば、ビニール人形やジュースなどのガラス瓶など、その当時はどこにでもありふれていて、大したものではないと思われていたものであっても、時間の経過とともに「その当時の文化を表すアイコン」としての価値が高まってくる可能性があるかもしれないからです。
江戸時代の町人の日記なんて、その当時は一銭の価値もなかったでしょう。しかし、今ではその当時の文化を知る手がかりとして、とても貴重なものになるでしょう?

では、現実に無数に存在する書籍はどうかと振り返ってみると、毎年多数の書籍が廃棄されています。もちろん、国会図書館のようになるべく、多数の書籍をアーカイブしようとしているところもありますが、おおむね一定の速度で失われつつあります。
インターネット上のコンテンツも同様に、ある一定数は、失われることを許容しなくてはいけないか?という命題が突きつけられています。
もちろん、InternetArchiveというような形である程度保存されているというのは、承知していますが、それさえかなりの量とはいえ、保存されているものは、一部分です。
Internet Archive: Digital Library of Free Books, Movies, Music & Wayback Machine
上述したように、その当時の生の文化を知る一次資料が大量に失われることには、危機感を覚えています。文化を調べる手がかりは、昔は物理的なモノとしてしか存在し得なかったのですが、今はデジタルデータもその一翼を担っている状況があることを考えると、書籍と同じレベルの対策が必要になってくるように考えます。
さて、過去を知る一次資料としてのHPを残す方法としては、以下の4つが考えられます。
1.個人が自分のストレージに保管する
2.InternetArchiveのように民間団体が保管する(NPO)
3.Googleなどの大企業が保管する
4.国が保管する
1は、あくまで個人に依存してしまうので、散逸と確実性が格段に低下してしまいます。
2は、一番の有力株ですが、財源をどのように恒常的に確保するか?ということが課題になります。
3は、一企業のみにゆだねたときに、公平性の担保や倒産などによって失われるリスクが存在します。
4は、国がイニシアチブを取って実行するというものですが、一番期待できないと考えています。過去の歴史を振り返ってみても、公平性の担保も難しいし、継続性もよほどの国民からの支持がない限りは、危ういと思うのです。
と、どれも一長一短なのですが、自分の中では、NPO案件かな?と思っています。
非営利で特定団体に寄与しないという中立性が保たれて可能性が高いからです。これに、複数の企業や個人からの協賛を資金源として、運営されるのがもっとも望ましいでしょう。ただし、上にも書きましたが、恒常性という面では、常に資金的にバックアップしてくれるところを持ち続けるということが必要になると思いますけどね(長期の視野で考えると、なかなか難しいところではある)。
複数の大学、研究機関、企業などの第三者機関として運用するというのが、良さそげな感じがしますけどね。

価値というのは、変動的なのです
現在、大量に生産され、そして大量に廃棄されるものであっても、時間の経過と共に再び価値を帯びてくるという例には、枚挙にいとまがありません。
過去の黒歴史の数々であったとしても、くだらないネット上の論争であったとしても、面白みのない文章の数々であったとしても、それに「価値がない」とは言い切れません。それを判断するのは、現在の時間上にはないのです。時間の積み重ねによって、どんな価値が生成されてくるのかは、予測不能なのですから。
そういう意味合いにおいて、ぜひとも@homepageのデータは、どこかでアーカイブしてもらえたらと思っています。
niftyの移行サービスがありますので、まだアカウントをお持ちの方は、下記を参考に移行してみてください。
@homepageの移行先サービスについて教えてほしい。 | 会員サポート > Q&A(よくあるご質問) : @nifty
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