学力とコンピュータ開始年齢との考察ちょっと待った!

情報管理LOGの@yoshinonです。
先日、私の愛読しているブログの一つである「データえっせい」さんで、「幼少期のコンピュータ利用と学力の関連」という記事が上がっていました。
これに関して、いくいつか違和感を感じたので、データ分析のずぶの素人ですが、その違和感の原因について探ってみました。
※注:別にケンカを売っているとか、そういうのじゃ全くありません。あしからず。
【 学力とコンピュータ開始年齢との考察ちょっと待った! 】 1.コンピュータ開始年齢が早ければ学力が高くなるは、本当か? 2.考察1: コンピュータ所有率と学力との関係から 3.考察2: コンピュータ開始年齢という項目を検討するのは時期尚早では? 4.考察3: 本当にコンピュータ開始年齢との因果関係が成立するのか? |
上に書きました私の愛読ブログの一つである「データえっせい」さんが、先日アップした記事を読んで違和感を感じたので、その違和感を探るべく、ちょっと考察してみました。
データえっせい: 幼少期のコンピュータ利用と学力の関連
まず、この記事の骨子ですが、
・コンピュータ開始年齢と学力は相関関係にある
・コンピュータ所持率は、経済的に見て比較的裕福な層において高く見られる
・その群の中でコンピュータ開始年齢を比較する
・すると、高い相関関係が見られた。
・コンピュータ開始年齢と学力の間には、因果関係があるのではないか?
という感じではないかと思います。
この段階では、それほど大きな齟齬はないのではないかと思います。
私が、奥歯にものが詰まったような、妙な違和感を自分なりに分析してみたら、以下の点が引っかかっていると思い至りました。
1.コンピュータ所持率全体から見た場合、そのコンピュータ開始年齢というものに、どれほどのデータ的な価値があるのか?
2.そもそもコンピュータ開始年齢というものを考察の遡上に挙げる段階にあるのか?
3.果たしてコンピュータ開始年齢との因果関係が成立するのか?という根本的な疑問
別に難癖をつけたいわけではなく、自分の中の疑問の種が芽生えてしまったのです。すみません。
というわけで、自分なりにいくつか資料にあたりながら、考察してみました。
この考察に関して、絶対的に正しいとか言うつもりは、毛頭ありません。反論異論大いにあって良いかと思います。
まずは、コンピュータ所持率の件から切り込んでいきたいと思います。
日本国内のコンピュータ所持率と親の経済状態との関係性から見ていきます。
それが、このグラフになります。

引用:年収でパソコンの保有率に違いは生じるのか(不破雷蔵) - 個人 - Yahoo!ニュース
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このグラフを見ると分かると思いますが、世帯収入が700万を越えるあたりからコンピュータ所持率は、ほぼ横ばいになることが分かります。つまり、年収700万円の家庭であっても、年収1500万円の家庭であっても、ほぼ95%以上の家庭にコンピュータがあることを意味します。
その一方で、学力と親の経済状態は、因果関係にあるという、様々な調査結果があるので、見てみるとこのような関係があることが分かります。

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引用:第1章 家計負担の現状と教育投資の水準:文部科学省
年収700万円以上の家庭から、さらにその上の年収に至るまで学力との因果関係が成立することが分かります(最大10%以上の差がある)。
データえっせいさんでは、割とざっくりと「両親のいずれかが大卒(ISCED 5A or 6)以上の生徒に限定」としていましたが、その中にあっても、一括りにできない年収の帯が存在するわけです。その中において、コンピュータ開始年齢の低い層に年収が低い層が多数存在する可能性もあり、その逆もあるわけです(開始年齢が、早い層に高収入な層が多数存在する可能性)。
もしも、比較するならば、親の年収が同じ層同士の中で、コンピュータ開始年齢を比較すべきだったかも知れません(残念ながら私が探した資料には、そのようなデータはなかったので反証はできませんが)。
そもそも、このコンピュータ開始年齢という項目自体について、もう少し見ていかなくてはいけないと思っています。
まず、コンピュータ所持率の推移をご覧ください。

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図録▽パソコンとインターネットの普及率の推移
1995年のWindows95の発売を契機にコンピュータの所持率劇的に上がり、ほぼ右肩上がりで上がり続けているのが分かります(単身者世帯では、2010年から減少に転じている)。1995年当時のPCは、値段も高く30万円以上しました(実際は、もう少し高かった印象)。この当時は、バブル期であったことを勘案しても、PC所持層というのは、一定の年収との相関関係があったのではないか?と考えられます。この段階での普及率は、たったの15%に過ぎません。普及率が、50%を上回ったのは、2000年に入ってからです。
ちなみに、以下はPCの値段の推移になっています。

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データ元:パーソナルコンピュータ史 - Wikipedia
このデータと照らし合わせると、2000年代に入って、コンピュータの平均単価が20万円を切り始めてから劇的に普及率が上がってきているのが分かるはずです。
そこで、改めてデータえっせいさんのところで示されていたグラフを見てみたいと思います。

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グラフ:データえっせい: 幼少期のコンピュータ利用と学力の関連より引用
こちらのグラフは、2012年のPISAの結果を基に作成されているようなのですが、コンピュータ開始年齢と学力との関係を表したものになります。
ここで、よく考えてもらいたいのですが、2012年段階で15歳の生徒のデータなのです。2012年で15歳ということは、生まれは1997年ということになります。このときのコンピュータ普及率は、たったの22%台でした。そこから、6年後の2003年でおよそ65%なのです(単身者だとダメでしょ?子どもがいる前提なので)。6歳~13歳以上にわたる期間の中でおよそ20%ほどの普及率の変化があったわけです。さらに、コンピュータの金額そのものも、2003年段階では、およそ15万円ぐらいでしたが、2010年ではおよそ8万円と1/2の価格になっているのです。
何が言いたいのかというと、
コンピュータを買っている層がこの期間で劇的に推移しているにもかかわらず、それを勘案しないで、単に「コンピュータ開始年齢と学力」という切り口のみで見ることは、危ういのではないか
というです。
さて、私が一番最初に「おや?」と引っかかりを感じたのは、データえっせいさんのこのグラフでした。

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グラフ:データえっせい: 幼少期のコンピュータ利用と学力の関連より引用
日本のコンピュータ開始年齢が、明らかに低い結果になっています。それに対して、北欧の国々は高い数値を示しているのが分かります。
さて、では2012年のPISAの順位はどうだったかというと、こんな感じになっています。コンピュータ開始年齢が遅いはずの日本と韓国が、OECD加盟国の中で上位を占めているのです。もしも、因果関係が成立するならば、この順位はもう少し違った物になっていないとおかしいはずです。

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引用:OECD生徒の学習到達度調査(PISA2012)のポイント|国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research
ここで、考えられるのは、親の経済状況と学力の因果関係についてです。すでに、様々な調査結果から、この2つに関しては、因果関係が成立するとされています。裕福な家の子どもは、学力が高い傾向にあるし、そうではない家庭の子どもは、総じて学力が低い傾向にあるということです。
つまり、コンピュータ開始年齢に関する考察でも書いたように、親の経済力が直接、コンピュータ開始年齢と結びついている可能性が非常に高く、コンピュータ開始年齢と学力の関係は、交絡の可能性が高いというということです。
交絡 - Wikipedia
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だからといってコンピュータ教育が不要なわけじゃない
コンピュータ開始年齢と学力の関係について考察していきましたが、だからといって教育にコンピュータが不要だと言っているわけではありません。むしろ、コンピュータを教育に使うことは、積極的に推進すべきだと思っています。すでにプログラミング必修化という話も出てきているようですが、21世紀を生きるにあたり必要な知識であろうと思っています。
小学校でのプログラミング教育必修化を検討 文科省:朝日新聞デジタル
後日、話題にしたいと思っているのですが、実はコンピュータによる教育的アウトプットの有無こそが、学力と関係が深いのではないか?と思っています。
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