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IQだけじゃダメ?多重知能理論から豊かな生き方を考えるす

2017年02月26日
子育て 0
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情報管理LOGの@yoshinonです。
子育てをしてていると、実に日々たくさんの気づきがあります。可能性の塊と言って良いかもしれません。けれども、その可能性の塊のまま、どんどんその可能性を膨らませてくれれば良いのですが、必ずしもそうはなりません。
私たちの社会は、どちらかというとIQに重きを置きがちで、(学校の)勉強ができることや、理数系や人文系への理解力という点に重きを置いています。しかし、目の前の子どもを見ていると、それが本当に豊かな人生をつくるのかと疑問に感じるのです。
今回は、多重知能理論という考え方から、もう少し枠組みを柔らかく考えてみてはどうか?ということについて書いていきます。


  
【 IQだけじゃダメ!多重知能理論から豊かな生き方を考える 】  

 1.「娘さんは病気じゃあありません…ダンサーなのです」

 2.教育の偏り

 3.多重知能理論(MI理論)とは何か?







NHKでやっているスーパープレゼンテーションという番組をご存じでしょうか?TEDという各界の有名人によるプレゼンテーションをするという番組です。私は、この番組が割と好きでよく観ています。とはいえ、その中でもすごい回とそうでもない回があります。
そんなTEDの中でも私のお気に入りの一つが、こちらの動画です。ケン・ロビンソンというイギリスの能力開発・教育アドバイザーの方のTEDです。非常にお話しも面白く、ぐいぐい引き込まれてしまいます。全編観ていただけるのが良いのですが、今回紹介したいのは、15分~の部分になります。




ジリアン・リンという「キャッツ」や「オペラ座の怪人」などの振付師としてかなり有名な方について語っています。1930年代に子どもだったジリアンは、今だったらADHDと診断されるであろう感じで、落ち着きがなく、集中力に欠けていました。両親も「学習障害ではないか?」と心配して、専門家の方に相談しに行くのです。

”その際に医者はラジオのスイッチを入れました。そして部屋の外で母親に 「ここでジリアンを見ていて下さい」と伝えました。するとジリアンは元気そうに、音楽に合わせて動き始めました 母親と医者はそんなジリアンを見守りました。”

そこで、医者は母親にこう言うのです。

「お母さん、ジリアンは病気なんかじゃありません。ダンサーなのです」
「ダンススクールに通わせてあげなさい」


この動画から学べることはたくさんあるのですが、私が感じたのは、もしもこの子がこのお医者さんに出会っていなければ、全く違った人生を歩んだ可能性があるということです。
少なくとも、その後の人生の大きな成功が見込めなかった可能性が高いです。さらに、薬を服用し、学校という枠組みで見たときに成績も下位で推移し、低賃金労働に就いていた可能性も否定できません。

ケン・ロビンソンさんの本です。とても面白いです。








さて、現在の日本の学校は、どのようになっているのか時数の面から見てみましょう。
文部科学省にある小中の学習指導要領を参考にしました。

小学校学習指導要領:文部科学省
中学校学習指導要領:文部科学省

<小学校時数>
区分第1学年第2学年第3学年第4学年第5学年第6学年
各教科の 授業時数
国語306315245245175175
社会7090100105
算数136175175175175175
理科90105105105
生活102105
音楽687060605050
図画工作687060605050
家庭6055
体育1021051051059090
道徳の授業時数343535353535
外国語活動の授業時数3535
総合的な学習の時間の授業時数70707070
特別活動の授業時数343535353535
総授業時数850910945980980980



<中学校時数>
区分第1学年第2学年第3学年
各教科の 授業時数
国語140140105
社会105105140
数学140105140
理科105140140
音楽453535
美術453535
保健体育105105105
技術・家庭707035
外国語140140140
道徳の授業時数353535
総合的な学習の時間の授業時数507070
特別活動の授業時数353535
総授業時数101510151015



これらを見て、気づくことは明らかに時数の偏りがあることです。

※気をつけて欲しいのは、別に理数系や人文系の時数を減らして、芸術系の時数を多くした方が良いという乱暴な議論を展開したいわけではないということです。

しかし、現在の学校では、教科による偏りが存在するということを知っておくことが大事なのです。
さらに、小学校の図工だけをピックアップして、その時数が戦後どのように変遷していったのかを見てみましょう。そうすると、昭和46年まで452時間あった総時数が、平成14年で358時間と100時間も減らされていることが分かります。日本では、芸術系に対してかなり冷遇していることが分かるはずです。


1学年2学年3学年4学年5学年6学年合計
昭和36年図画工作1027070707070452
昭和46年図画工作1027070707070452
昭和55年図画工作687070707070418
平成4年図画工作687070707070418
平成14年図画工作687060605050358







今回紹介する「多重知能理論(MI理論)」は、ハワード・ガードナーという方が、提唱した理論です。



この理論の面白いところは、今まで知能の尺度として用いられてきたIQでは、人の能力の一面しか評価できないことを看破しているところです。

彼の提唱しているMI理論とは、人の知能というのは8つに分類できるのではないか?としたことです。
その8つの知能とは、以下のようにまとめられます。
※参考:多重知能理論の概要


言語的知能話しことば・書きことばへの感受性、言語学習・運用能力など
論理数学的知能問題を論理的に分析したり、数学的な操作をしたり、問題を科学的に究明する能力
空間的知能空間のパターンを認識して操作する能力
身体運動的知能体全体や身体部位を問題解決や創造のために使う能力
音楽的知能リズムや音程・和音・音色の識別、音楽演奏や作曲・鑑賞の能力
対人的知能他人の意図や動機・欲求を理解して、他人とうまくやっていく能力
内省的知能自分自身を理解して、自己の作業モデルを用いて自分の生活を統制する能力
博物的知能自然や人工物の種類を識別する能力



このように眺めてみると、算数や理科がからっきしでも、運動ができたり(身体運動的知能)リーダー性(対人的知能)があったりする子どもがいても、物静かで内省的だけど(内省的知能)絵を描くのが上手(空間的知能)という子どもがいるというのも、それぞれに知能の発露が違うだけに過ぎないことが分かるのです。

社会全体で見てみると、必ずしも先に挙げたダンサーの例を問うまでもなく、教室で優秀だった子だけが成功しているわけではないことが見て取れるはずです(周囲にいる人で考えてみると面白いかも)。

そう考えると、学校という枠組みで考えた場合、かなり窮屈な場所になっていることがわかりますね。そして、「役に立つ」という尺度のみが、突出して評価の対象になりがちであるということが、子どもたちにとって不幸な出会い方をしている可能性が高いとも言えます。

もう少しバランス良く知能のあらゆる側面を認めることができる社会になると、もう少し生きやすくなる子が増えるのかな?と思ってしまいます。





 eyeglass2.png 情報管理LOGの眼
 我が子を見て思うこと

実は、多重知能理論(MI理論)を知ってから、少し子どもを見る目が変わりました。私の息子は、

 本好き(月に数十冊の本を読む)
 算数が得意
 工作が好き(いつも何か作っている)
 運動は得意ではない
 社交的とは言えない(でもなぜか友だちに人気がある謎)
 片付けが得意ではない


というような特徴があります(もちろん、当たり前だけど他の側面もたくさんありますよ)。
この中で学校という枠組みで評価される部分ってどの部分かな?
と考えたときに、それほど多くは評価されないだろうなと思ってしまいます。けれども、親である私は、うちの子の得意なことを知っています。そして、MI理論と照らし合わせたときに、面白い特性を備えているなと観察することもできます。

ついつい学校ベースだけで子どもを見てしまうと、せっかくの多彩な知能の側面を見逃してしまう可能性があるわけです。もちろん、学校は万能では無いと思っているので、そこに多くを求めてしまうのも酷なことだと十分に理解しています。だからこそ、親としては、その子の可能性をしっかりと見つけて、育んでいきたいと思うのです。

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